AI(チャットGPT)に相続登記について聞いてみた
最近、何かと話題にのぼるAI(人口知能)。
特に注目を浴びているのが、小説まで作れるというチャットGPT(ChatGPT)です。
チャットGPTとは、AI(人口知能)の開発をおこなっているアメリカのOpenAIという団体が公開したサービスで、人間が入力した質問に対してAIが返答をしてくれるというものです。
チャットGPTを使うと作文がいとも簡単に出来、また、文章の添削や校正、プログラミングも作れると重宝されているとか。
そこで、いい相続でもチャットGPTに相続について質問をしてみました。
さて、どんな回答をくれるでしょうか・・・!
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
チャットGPTに相続登記を聞いてみた
令和6年から義務化される相続登記。
令和4年に義務化が決まってからというもの、定期的にニュースに上がります。AIは相続登記について、どこまで知っているのでしょうか。
相続登記とは?チャットGPTに質問
そもそも相続登記についての知識(データ)があるのかどうかを確認するために「相続登記とは何か?」と聞いてみました。
回答はこちらです。
チャットGPTの答えは合っていた?
正解か、不正解か?という点では残念ながら不正解と言わざるを得ない回答でした。
まず、最初の3行について注目してみると、以下のように書かれています。
相続登記は、亡くなった人(被相続人)の財産や資産を、その遺産を引き継ぐ人々(相続人)に正式に譲渡するために行われる手続きです。相続登記は、相続人が法的に財産を所有し、遺産分割や遺産の管理を行うために重要です。
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の登記名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ名義の変更を行なうことをいいます。つまり、不動産を相続したときにする手続きです。しかし、チャットGPTの回答は、「亡くなった人の財産や資産を引き継ぐための手続き」と遺産全体を一括りにして説明いるため、相続についてあまり知らない人は相続手続き全体を「相続登記」といい、誰でもするべきもの、と誤った認識をしてしまうおそれがあります。
そして、遺産全体を前提にしているため、冒頭の三行以降の文章も相続登記の説明としては不適当なものとなっています。
たとえば、「相続登記の目的は、相続人の法的地位を確定させ・・・必要な手続き(例:売却、譲渡、相続税の申告など)を行うことができます。」とあります。相続登記をすることで、相続人の法的地位を確立されるわけではありません。相続登記の大きな目的は、故人の不動産を相続した人がだれか、ということを明確にすることです。さらに、後半の部分については「相続登記をすることで必要な手続きをすることができる」とあり、たしかに、相続登記をしないと売却はできませんが、相続登記をしなくても相続税の申告はおこなうことができます。
このように、合っている部分とそうでない部分がとてもナチュラルに混同しているので注意が必要です。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼
チャットGPTに相続登記の手順を質問してみた
こちら側の質問が漠然としていたために、回答が間違った方向になってしまったのかもしれないので、もっと具体的な別の質問をしてみました。
相続登記の手順をチャットGPTに質問
以下のように要件を付けて相続登記の手順を聞いてみました。
- 家の相続登記をしたい
- 家の所有者の父が亡くなったので被相続人は父である
- 相続人は母と子ども2人である
- 家を相続するのは母に決まった
- 家は東京都中央区にある
チャットGPTの答えは?
次のような答えが返ってきました。
真っ先に目についた大きな間違いは「3」の「相続分の分配方法は、地域の法律によって異なります。」という部分です。
日本では相続分の分配方法はどこの地域でも同じです。地域によって法律が変わることはありません。
また、1から5のそれぞれの項目の詳細は、一見納得してしまいそうな説明が書かれていますが、実際には存在しない名称が使われていたり、説明不足によって誤認されそうな箇所もあります。
例えば、「2」の相続人の確認については、「相続人が母親と子ども2人であることを確認します。相続人の身分証明書などを用意しましょう」とあります。 相続人の確認方法は「家族で集まり、身分証明書を見せあって相続人を確定をする、もしくは、家族全員が身分証明書があれば確定する」という風にも受け取れませんか?。 実際の相続人の確認方法は、死亡した人の戸籍謄本を取り寄せ、戸籍から相続人が誰なのかを明確にする必要があります。
またしても、こちら側の質問が伝わりにくかった可能性があるので、今度はAIの導き出した言葉について踏み込んだ質問をすることにしました。
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チャットGPTの回答に対して質問をしてみた
チャットGPTが回答した言葉についてどのような理解をしているのかを聞いてみます。
チャットGPTの回答に踏み込んで質問
先述の回答に書かれていたことについて質問をしてみました。
- 死亡証明書はどこでもらえますか?
- 身分証明書は何を準備すればよいですか?
- 相続分の分配が決まったことを示す書類とはどういうものですか?
- 中央区の土地登記所はどこにありますか?
すると次のような答えが返ってきました。
チャットGPTは理解して回答を書いたか?
死亡証明書の取得先
まず、死亡証明書という書類はありません。
チャットGPTの言う死亡証明書はおそらく死亡届記載事項証明書のことと思われます。
仮に死亡届記載事項証明書だったとして、取得先は市区町村の役所または法務局です。
しかし、ほとんどの手続きは死亡診断書で事足ります。
死亡診断書の入手方法についての詳細は「死亡届の書き方と死亡診断書の発行、死因や状況別の事例で提出方法を解説【行政書士執筆】」で詳しく説明しています。
身分証明書の準備
チャットGPTの回答では相続人全員分の準備と書かれていますが、相続登記では、一般的には登記申請人の身分証明書だけで大丈夫です。(事案によっては他の相続人の身分証明書が必要になるケースもあります。)
相続分の分配が決まったことを示す書類とは?
遺言書がある場合は相続登記の手続きでは遺言書を準備します。AI(人口知能)はそのことをきちんと答えてくれました。
なお、「相続分の分配が決まったことを示す書類」というのは遺産分割協議書のことと思われます。
遺産分割協議書の書き方や必要な場合については「遺産分割協議書を全解説|作成の目的から書き方、必要書類まで【行政書士監修】」で詳しく説明しています。
中央区の土地登記所どこにある?
土地登記所という名前の公的な事務所はありません。おそらく、法務局のことをいいたかったのでしょう。
中央区の不動産登記管轄は、東京法務局です。市区町村別に管轄する法務局が決まっており、不動産の住所を管轄する法務局で手続きをおこないます。
また、営業時間(本来は取扱時間といいます)法務局のホームページで確認します。
実際とは違う書類名であったり、それを取得するための場所も違います。ただ、なんとなくありそうな名前であるのは、AIが様々な相続の情報を処理して導き出すからなのかもしれません。
なお、2021年の情報をもとに回答しているとのことで、相続登記の義務化について聞いてもまだ有効な答えは得られないでしょう。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼
まとめ
手続きの大まかな流れだけを知りたいということであればよいかもしれませんが、内容等についての説明が間違っていることから、相続登記について全く知識のない方がチャットGPTを活用して相続登記をするのはまだ難しいでしょう。
チャットGPTの回答にもあったように、AIの知識がいつ時点のものかということも注意したいところです。
今後、改良が重ねられどんどん精度は増していくと思われますが、今のところは参考程度にとどめておき、実際に検討する際は専門家に相談した方がよいでしょう。
▼実際に「いい相続」を利用して、専門家に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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