空き家と預金や株を相続。不動産だけの相続放棄は可能ですか？更新日: 2024年7月4日

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父の遺産が空き家と預金、株でした。預金と株はありがたかったですが、正直空き家はいりません。田舎にあり処分も面倒です。不動産だけ相続放棄することはできますか？

不動産だけを相続放棄することはできません。

相続放棄は被相続人（亡くなった人）の財産と負債の全てに対する相続権を放棄することですので、特定の財産だけ放棄はできません。

相続放棄とは、被相続人のすべての財産の相続を放棄することです。被相続人が死亡して自分が相続人となったことを知ってから3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をして、認められれば最初から相続人ではなかったことになります。

相続人同士で相続財産の帰属について話し合う「遺産分割協議」と混同されがちですが、家庭裁判所への手続きを行わず、相続人の話し合いで欲しい財産を指定しただけならそれは相続放棄ではありません。

相続放棄においては負債を含めた全相続財産を放棄することになるため、もちろん負債のみの放棄はできませんし、自分に都合の良い財産は相続し、要らないものを放棄するということもできません。

この質問者様の場合も、不動産を相続放棄して証券だけを相続する方法はないと考えておかなくてはなりません。

実際に相続放棄をするケースは、ほとんどは「負債が財産よりも多い」または「被相続人と相続人の関係、あるいは相続人相互の関係が悪いので相続自体に関わりたくない」といった理由で行われています。

相続の方法には相続放棄のほかに単純承認と限定承認があります。相続する前にその違いやメリット・デメリットについて理解することが大切です。

単純承認は、相続人が被相続人の財産を引き継ぐことです。相続開始を知った日から3か月以内に限定承認か相続放棄の申述をしない場合は単純承認したとみなされます。

この単純承認は、預貯金や不動産、株などのプラスの財産のほかに、借金や未払金などの負債も含まれます。プラスの財産が多い場合は、単純承認で問題ないでしょう。

限定承認とは、相続財産の範囲内で、借金などの債務を支払うことを条件に財産を引き継ぐことです。限定承認だと負債を相続しなくてもよく、便利な制度に見えますが、相続人全員の同意が必要であったり、手続きの手間や時間がかかります。

どうしても空き家やその存在する土地を相続したくなかったとしても、放棄をすること自体が難しい場合、相続した後でどのように活用するかを考えなくてはなりません。空き家や土地は所持しているだけで毎年固定資産税がかかります。

建て直しが難しい空き家については、取り壊し時期が来るまでの間賃貸に出すという方法も考えられますが、取り壊しをしたい場合に立ち退きのトラブルになることもありますので、あらかじめ定めた期間が満了することによって契約を終了させられる「定期借家契約」にしておくのも選択肢の一つです。

また、ある程度老朽化している建物であればいっそ取り壊して土地として活用する方法もあります。

土地活用の方法として代表的なのは駐車場ですが、その他に近年、メジャーになりつつあるのがトランクルームです。比較的、設備投資も少なめで済み、メンテナンスの手間も抑えられることから人気が出ているようです。

実際、どのように活用していくかは土地の面積や立地条件、周囲の環境（商業地か、住宅地かなど）により大幅に異なると思われるため、税理士や不動産業者など専門的知識のある人への相談が欠かせないでしょう。

ただ、業者の場合は営業的な観点から、あまり所有者のメリットにならない提案をすることもあるため、その意見を鵜呑みにしないようにすることも大切です。

ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。

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