【よくある質問】勝手に固定資産税を上げておき、さらに勝手に取り壊しておきながら解体費用を支払えとは納得できません。
空き家についてですが、法制度により勝手に固定資産税を上げ、さらに勝手に取り壊しておきながら解体費用を支払えとは納得できません。
全国的に増え続ける空き家と、それに伴うトラブルに対処するため、平成27年に「空き家対策特別措置法」が施行されました。
これに伴って、行政が危険のある建物等を強制的に取り壊し、解体の費用を請求することもできるようになったため、一般市民としても古い建物をただ放置しておくわけにはいかなくなったのです。最悪の場合は差押を受けて強制的に費用を回収されることもあります。
空き家対策特別措置法とは?
たとえば、建物は人が住まない状態で長く放置するとどんどん構造などの傷みが進行し、倒壊や壁などの剥がれ落ち、飛散の危険が生じます。 最悪の場合は人に当たり、怪我をさせてしまうこともあります。
また、古家のある場所によっては景観も損ねてしまうことがあります。 そして、不法占拠等犯罪の温床になったり、最悪の場合は放火されて火事になることすらあります。
そこで、地域住民の生命や身体の安全を保護し、生活環境を守り、空き家の有効活用を推進することを目的として「空き家対策特別措置法」が制定されました。
この法律によると 「著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家」については行政により一定の措置が取られることになります。
もし、対策が必要な「特定空家等」に指定された場合は、改善の助言、指導、勧告などが行われます。
固定資産税も上がってしまう
「建物を取り壊すと固定資産税が上がる」というのはよく知られていることですが、これは「建物が存在する土地に対して本来よりも優遇されていた固定資産税が本則の金額に戻る」というのが正しいのです。
固定資産税が上がることを避けたいために古い危険な建物をそのままにしているケースもままあるため、もし「特定空家等」に指定されると上記の優遇はなくなり、固定資産税が約4倍、都市計画税も約2倍上がってしまいます。
▶相続した不動産の固定資産税、相続人が決まってないとき税金を負担は誰か?納税方法は?解体費用を払わないと差押えを受けることも
もし行政の助言や指導を無視していると、次に期限付きの改善命令が出されます。さらにそれでも改善が図られない場合は「強制的に対処する」段階に移ります。
たとえば、倒壊の危険があるような空き家であれば「行政代執行」といって、強制的な撤去が行われ、その費用を所有者に請求します。
この費用を免れようとして支払いに応じずにいると、最終的には差押が行われ、競売で土地を取り上げられてしまうこともあります。
▶相続登記の手続きと必要書類、放置した場合のリスクまで徹底解説【司法書士監修】空き家対策特別措置法の改正
令和5年12月13日、空き家の増加が続く状況を踏まえて、空き家等対策特別措置法の改正が行われました。改正の趣旨としては空き家の状態が極めて悪くなる前に、悪化の防止を図るための仕組みを創設するというものです。
新設されたのが、空き家活用の重点的実施を目的とした「空家等活用促進区域」と、特定空家化を未然防止すべき空き家と認められる「管理不全空家」です。また「空き家等管理活用支援法人」も創設されました。
「空き家等活用促進区域」では、空き家改修などに際して建築基準法の接道や用途に関する規制を合理化できます。改修や活用のハードルも下がるでしょう。
「管理不全空家」は市町村長による指導や勧告の対象となり、勧告を受けた場合は固定資産税の住宅用地特例が解除されます。つまりその分固定資産税が増えるため注意してください。
「空き家等管理活用支援法人」は空き家対策に従事するNPO法人(特定非営利活動法人)や社団法人に公的立場を与える制度です。空き家所有者への情報提供や相談などの活動を後押しします。
相続登記の義務化の開始
相続登記は令和6年4月1日より義務化されます。相続によって不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
相続等により所有権を取得したことを知った日から3年以内に正当な理由がないのに申請を怠ったとき、10万円以下の過料の対象となります。
またこれは過去に相続して登記していない不動産も対象です。改正法の施行日から3年以内に相続登記をする必要があります。過去に相続して登記していない空き家がある場合は、速やかに手続きをおこないましょう。
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。