【よくある質問】亡くなった父の実家から骨董品が大量に出てきました。価値を調べるためには鑑定が必要でしょうか?
亡くなった父の実家から骨董品が大量に出てきました。価値のあるものかどうか、全部を鑑定してもらうのは大変なんですが、価値を調べるためにはやっぱり鑑定が必要でしょうか?
「真贋(本物か偽物か)を見てもらう、また、評価に客観性を持たせる」ためにもその分野の専門家に鑑定してもらうことをおすすめします。
相続財産の中には相続人が気づいていなかった、思わぬ価値を有するものが存在することもあります。 その財産の種類によっては「専門家による鑑定」が必要になる場合もあります。
相続財産の中の一つである「動産」
不動産については「固定資産税評価額」や「不動産業者による査定価額」「路線価」といったある程度客観性を持つ基準が存在するのですが、それ以上にわかりづらいのがいわゆる「動産」です。
動産は不動産以外のものを指しますが、税務上、相続財産として扱われる動産は「一般動産」「棚卸商品等」「牛馬等」「書画骨董品」「船舶」の5種類に区分されます。
一般動産の中の一つが家庭用の動産です。 動産の場合はまず、どのような単位で評価していくのかが問題になりますが、「1個」または「1組」ごとに評価します。ただし、家庭用動産で1個または1組の価額が5万円以下のものについては一括して一世帯ごとに評価することができます。
▶相続税評価額はどうやって出す?土地家屋や株など相続財産の計算方法基本的な一般動産の評価方法
一般動産の価額を評価する方法としては、「売買実例価額(一般に売ればいくらになるのか?)」「精通者意見価格(専門家の評価した価額)」などを参考にして評価します。
しかし、それらが明らかではない場合には、その動産と同種、同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造時から課税時期までの期間の償却費の合計額、または減価の額を差し引いた金額となります。
書画や骨董品の調査と査定
書画や骨董品を調査する際は、次のことを確認しなくてはなりません。
- 先祖伝来の書画や骨董品があるかどうか、そしてその保管場所
- 美術年鑑に記載されているか(美術年鑑は株式会社美術年鑑社より毎年発行されており、図書館や書店で閲覧、入手することができます)
- 箱、資料などの付属物がないか
- 刀剣はないか
- アンティーク家具や小物はないか
蔵や納戸がある家は、くまなく相続人が確認しなくてはなりません。 美術品や骨董品は「落款」「署名」がある場合も多いため、そこから美術年鑑への記載の有無を確認できることがあります。 また、箱や資料が残されている場合はその物の来歴がわかることがあり、価値の判定につなげることができます。
なお、その物の「真贋(本物か偽物か)を見てもらう、また、評価に客観性を持たせる」ためにもその分野の専門家に鑑定してもらうべきです。 古美術、骨董品の専門家はウェブサイトで探すこともできますので、そのようなルートから依頼するか、購入店がわかればそこからの紹介を受けてもよいでしょう。
▶相続財産調査とは?費用や方法、専門家への依頼方法など【相続財産調査】を徹底紹介美術品に係る相続税の納税猶予
平成30年度の税制改正において、「特定の美術品に係る相続税の納税猶予」という制度が新設されました。これは、一定の条件を満たした美術館などに特定美術品の寄託契約を締結し、その美術館に寄託していた被相続人に相続が発生した場合において、その特定美術品を相続した相続人が寄託を継続したときの制度です。
要件を満たした場合、寄託相続人が納付すべき相続税額のうちその特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することができます。
この制度はあくまで相続税の猶予する制度であり、要件に該当した場合納税猶予が終了します。
- 特定美術品を譲渡した場合
- 特定美術品が滅失、紛失等をした場合
- 寄託契約が終了、保存活用計画の期間が満了したのち新たな認定を受けなかった場合
- 重要文化財の指定解除、登録有形文化財の登録抹消、保存活用計画の認定取消しの場合
- 寄託先の美術館が廃止された場合(別の美術館に寄託した場合を除く)
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