換地前の登記済証はあるが換地後の登記済証がない場合は、どのような手続をすれば相続登記ができるのでしょうか?
うちで持っていた土地が区画整理により換地処分されたのですが、換地後の登記済証がありません。どのような手続をすれば相続登記ができるのでしょうか?
相続登記についてはもともと登記済証は必要ありません。また、換地処分がされた土地について権利変更する際の注意点も見てみましょう。※換地(土地を交換すること)
換地処分とは
換地処分とは、土地区画整理事業で行う事業の一環で、仮換地の所有権を取得し、仮換地をもともと持っていた土地とみなすことを言います。
また土地区画整理事業とは道路・公園・下水道などの公共施設が整備されていない町で、無計画な宅地化や問題を解決するために、見通しの良い道路や公園などを整備することです。
現在では登記済証は「登記識別情報」になっている
登記済証とは、登記が完了した際に登記所から買主等の登記名義人に交付する書面です。
前提としての話になりますが、平成18年以降、法務局の順次オンライン化と同時進行する形で「それ以降の権利移転の際には紙の登記済証を発行せず、登記識別情報を発行する」形がとられるようになりました。これを登記識別情報制度と言います。
12桁のアルファベット、数字を組み合わせた「暗号」のようなものがそれぞれの不動産、名義人ごとに発行され、従来の登記済証の代わりになります。
ただ、それまでに登記済証が発行されていた物件についてはそこに重ねて登記識別情報が発行されるわけではなく、すでに発行された登記済証が無効になるわけではないため、そのまま使うことができます。
登記識別情報とは「モノ」ではなく「情報」ですので、次に売却などで権利を移転する際には所有者がその登記識別情報の番号を法務局に申告する形になります。
そもそも相続登記に登記済証(権利証)はいらない
相続登記の場合は、戸籍や遺産分割協議書、印鑑証明書などを添付して相続人への名義変更を行うことになり、登記済証や登記識別情報の添付は要求されていません。しかし固定資産評価証明書が必要になります。相続登記が完了すると、名義を取得した相続人に対しては新たな「登記識別情報」が発行されます。
換地処分された場合の相続以外での権利移転
では、相続登記では問題なくできるとして、その他の権利移転についてはどうすればよいのでしょうか? 換地処分がされた場合は、「新しい登記済証(登記識別情報)が発行されるケース、されないケース」があります。
- (旧)一つの土地 → (換地後)一つの土地
- (旧)一つの土地 → (換地後)複数の土地
- (旧)複数の土地 → (換地後)一つの土地
パターン1と2の場合、換地処分で割り当てられた土地については新たな登記識別情報は発行されず、パターン3の場合にのみ発行されます。1や2で換地された土地を売却する際には、旧土地について発行されていた登記済証(登記識別情報)を添付することになります。
また、3については、旧土地の登記済証(登記識別情報)、または換地処分の際に発行された新しい登記済証(登記識別情報)のどちらを添付してもよいことになっています。 ただ、旧土地の登記済証(登記識別情報)を添付する場合はすべての筆の分が揃っていなければならないことに注意が必要です。
相続登記の手続きの義務化
令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。相続によって不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。
相続登記の義務化が決定されたことにより、令和6年4月1日からは一定の期間内に相続登記の手続きをしなかった場合、過料が科されることになります。具体的には、相続等により所有権を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由がないのに申請を怠ったとき、10万円以下の過料の対象となります。
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