【よくある質問】公正証書遺言を作成しました。現時点の預金額により公証役場に手数料を払いましたが財産が増えたら追加分を払わなければなりませんか?
公正証書遺言を作成しました。そのとき現時点の預金額により公証役場に手数料を払いましたが、財産が増えたら追加の手数料を払わなければならないでしょうか?
公正証書遺言の手数料は、いったん遺言書作成をしたらその後資産の状況が変わっても追加納付することはありません。
公正証書遺言の手数料はどのくらい?
公正証書遺言は、公証役場において公証人の面前で作成する遺言書です。2人以上の証人の立ち会いのもと公証人がパソコンで作成し、最後に遺言者が署名・押印して完成します。
よって、証拠としての能力が非常に高く、少なくとも「遺言者本人が自分の意思で作成した」ということは保証される形になります。
ただ、その代わりに公証人に支払う手数料がかかります。具体的な手数料の金額は「相続財産の額」「相続財産を渡す相手の人数」により決まってきます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは自筆で書かれた遺言のことです。公正証書遺言のように公証役場に行く必要はありません。
自筆証書遺言は費用がかからず手軽に作成できるメリットがありますが、要件を満たさない遺言書は無効となるデメリットがあります。
▶自筆証書遺言の正しい書き方とは?作成時のポイントと注意点も解説
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも明かさずに、かつ、遺言の存在だけが公証人によって証明される形式の遺言のことです。
▶秘密証書遺言とは?作成方法や自筆証書遺言・公正証書遺言との違い
証書作成の手数料
公正証書遺言の作成費用は、公証人手数料令という政令で法定されています。
- 100万円以下
- 5,000円
- 100万円超200万円以下
- 7,000円
- 200万円超500万円以下
- 11,000円
- 500万円超1,000万円以下
- 17,000円
- 1,000万円超3,000万円以下
- 23,000円
- 3,000万円超5,000万円以下
- 29,000円
- 5,000万円超1億円以下
- 43,000円
- 1億円超3億円以下
- 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円加算した額
- 3億円超10億円以下
- 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円加算した額
- 10億円超
- 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円加算した額
- 病気や高齢のため公証役場に出向くことができない場合、自宅や病院などへの出張もできるが、その場合は上記の手数料に50%が加算されるほか、公証人の日当と交通費が加算される。
- これらの金額を「遺産をもらう人ごと」に計算し、その合計金額が手数料の合計となる(同じ金額の遺産であっても、すべてを同じ人にあげる場合よりも、数人に分散してあげる方が手数料としては割高になる)。
相続財産は当然に変動する
これは、遺言書が遺言者の生前に行われるものであることから当然の結論ではありますが、遺言書を書く時点での「相続財産」とは見込み金額に過ぎません。遺言書で、ある銀行の預金を誰かに引き継がせることを指定したからといって、その預金を使ってはいけないわけではないのです。
あくまで、相続される財産は「被相続人死亡時点での財産」になりますから、もし死亡時点でその預金が使い果たされていたとしたら、その状態での相続(残額のみを引き継がせる)が「遺言者の意思」だったわけです。
そして、相続財産の状態が変わっていても遺言書の効力に影響はありません。当時の手数料もそれで有効だったわけですから、後から公証役場に追加納付したり還付されたりといったことにはなり得ないのです。
遺言書に記載のない財産
遺言書に記載のない財産があった場合、相続人全員で遺産分割協議をおこないます。記載のない財産については、遺言書の効力は及びません。
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