みなし相続財産とはどのようなものを指すのでしょうか?
質問者:H.K
「みなし相続財産」とは税務上の用語になります。 民法上の考え方に基づく相続財産と、税務上の考え方に基づく相続財産はその範囲が異なりますので注意しておきたいものです。
民法上の相続財産
相続とは基本的に亡くなった人の財産や権利、義務がすべてその相続人に引き継がれるという考え方ですが、中には例外もあります。
一身専属権といって、被相続人だからこそ保有していた権利がこれにあたります。 たとえば生活保護の受給権などはその人の特性に着目して与えられているものですからその人が亡くなったからといって当然に引き継がれるわけではありません。
では、財産についてはどこまでが相続される範囲なのでしょうか。
民法上の相続財産とは、相続人の間で遺産分割協議をする際にその対象となる財産のことです。基本的には被相続人(亡くなった人)の死亡時点で被相続人の名義になっているすべての財産的価値を持つ物ということになります。
ただ、一見して相続財産に見える物であっても遺産分割協議の対象にならないものもあり、それが「死亡保険金」など、「受取人固有の財産」と呼ばれるものです。 死亡保険金などは被相続人が死亡した時点で受取人に自動的に属することになりますが、税務上の取り扱いでは相続財産とされています。
相続税が課税される「みなし相続財産」とは?
みなし相続財産とは、民法上は相続財産ではないものの、被相続人の死亡を原因として発生した財産権であることからこれに相続税を課税するという趣旨で設けられている制度です。
上記のような受取人指定の「死亡保険金」や勤務先の会社からの「死亡退職金」が含まれることとなります。
忘れやすい課税財産とは?
また、相続財産をカウントする際に忘れやすいものとして「被相続人の死亡直前に生前贈与された財産」があります。
相続人(遺贈された人を含む)が被相続人が亡くなる3年以内(令和6年からは7年以内)に贈与された財産は、相続財産に含めて相続税を計算することになっています。
ちなみにこれも相続税の課税対象にはなるものの、遺産分割の対象となるわけではありません。
差し引けるものも把握しておき、相続財産総額を計算する際にそこから差し引けるものを忘れずに引いて計算することも税額を圧縮するためには大切です。
差し引ける負債等には以下のものがありますので、該当するものがないかどうかをチェックしておきましょう。
- 借金(ローン、カードの未決済分など)
- 未払い金(医療費、税金など)
- 預り金(敷金など)
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