2年前に父から相続した不動産を売却しようと思っているのですが注意点を教えてください。
質問者:Y.T
相続した不動産を売却する場合、前提としてしておかなくてはならない手続き、および注意すべきポイントがありますので確認してみましょう。
前提として必ず「相続登記」が必要
相続した不動産を売却したい場合、前提として遺産分割協議を済ませた上で相続登記をしておかなければなりません。
不動産を売却するにあたっては、「現在の所有者」と「実際に売却手続きをする売主」が一致していなくてはならないというルールがあります。
なぜなら、買主への所有権移転の登記申請をする際に「売主」の実印を押して印鑑証明書をつけることになりますが、その印鑑証明書の記載と現在の登記簿の所有者の記載が合致しなければ、真実に所有者が売ろうとしているかどうかが証明できないからです。
相続の場合においてもそれはあてはまります。
というのは、被相続人(亡くなった人)が生前に売却の契約を済ませており、単に登記が済んでいなかっただけなのであれば被相続人の名義のまま、相続人からの登記手続きという形を取ることができます。
しかし、相続開始後(つまり相続人と買主)の契約なのであれば、権利の移転の過程としては被相続人→(相続を原因として)相続人→(売買を原因として)買主ということになりますから、これを登記簿に忠実に再現しなくてはならないのです。
名義の移し方と売却代金の分け方
相続登記をするにあたっては、遺産分割協議を済ませてその不動産の帰属を決めなくてはなりません。
相続人が2人以上いる場合、基本的には最終的な売却代金の分け方に応じた共有関係で登記するのが基本ですが、手続きの便宜上、ある相続人だけの名義にしておいて最終的に売却代金を全員で分ける、というやり方もできます。
もし名義を2人以上で共有としてしまうと、売却手続きの際にその全員が「売主」となるため、人数やその不動産の場所によっては手続きがとても面倒になるからです(契約に関与しなければならない他、印鑑証明書や各種書類を準備するといった手間がかかる)。
しかし、たとえば相続人Aの名義にした後で売却代金をAとBで分割すると、遺産分割協議の内容によっては、Aがいったん相続により取得した財産をBに贈与したと解釈され、贈与税が課税されることがあります。
よって、このような形での遺産分割を検討している人は、税理士に事前の相談をした上で遺産分割協議書を作成してもらい、確実に贈与税を回避できるような内容にしておくことが大切です。
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