生命保険が節税対策になるとよく聞くのですがどういうカラクリでそうなるのでしょうか?
質問者:S.N
生命保険の死亡保険金をかけておくことは確かに相続税対策としての一面があります。 なぜなら「死亡保険金」には法定相続人に対し、一定の「相続税の非課税枠」があるからです。
「死亡保険金」や「死亡退職金」はみなし相続財産となる
死亡保険金や死亡退職金は、不動産や預貯金などとは異なり、本来の意味での相続財産ではありません。つまり、遺産分割協議を経なくても受取人として権利を持つ人が自分だけの手続きによって受領できるものです。
しかし、被相続人(亡くなった人)の死亡をきっかけに得た財産ですので、そのような意味で相続税の課税対象にはされているのです。
そして、「死亡保険金」や「死亡退職金」には「非課税枠」があり、法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)1人につき500万円までは課税財産から差し引くことができます。 課税財産が減るということはすなわち相続税の金額も減ることを意味します。
保険会社の人が言っている「節税効果がある」というのは決して嘘ではなく、確かにそのような結果をもたらします。ただ、やはり保険料の金額など、無理をしない範囲で契約しなければならないのは言うまでもありません。
▶生命保険の非課税枠を活用した相続税の節税対策|死亡保険金の受取人を誰にするかがポイント
節税と同時に「納税資金の準備」にも適している
課税財産から控除するために生命保険に加入するというのが第一の目的でしょうが、副次的な効果として「納税資金を準備できる」ということも大きいのではないでしょうか。 相続税は相続開始を知った翌日から10カ月ですので、もし現金がない相続人にとっては準備するだけでも大変なことがあります。人によっては先祖代々の土地を売却して納税資金を準備しなければならなくなることもあります。
よって、死亡保険金ですぐ現金化できるものがあれば相続人が自分自身の財産を売却して資金を作るといった必要もなくなるため、納税資金という観点からも非常に有用なのです。
場合によっては「争族」対策にもなる
死亡保険金を誰かに受け取らせるということは、相続における不公平を回避する鍵にもなります。 特に、不動産が多い家庭では不動産を相続する子供だけに偏ってしまい、その不満が他の兄弟に残ってしまうこともあります。そのような時に備えて不動産を相続できない相続人に死亡保険をかけておくということでカバーし、争族を回避することもできるのです。
このように保険というのは相続において色々な意味での使い道があり、賢く使えば非常に役に立つものといえます。
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