配偶者控除を使うと相続税がかからないのに申告しないとペナルティが税務署からくるって本当?
配偶者控除で相続税がかからない場合でも相続の申告をしないとペナルティが税務署からくるって本当ですか?
配偶者は相続税に関して優遇されている
配偶者は長年、被相続人(亡くなった人)の遺産形成に関して大きな貢献をしてきているはずですし、被相続人亡き後の生活を保障されなければならない面もあります。
よって、配偶者が遺産を相続する際には大きな優遇措置が設けられているのです。
「配偶者の税額軽減」と呼ばれているのですが、配偶者が遺産を相続する場合「法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)」と「1億6000万円」のいずれか多い金額まで相続税はかかりません。
▶配偶者控除で相続税が1.6億円まで非課税|配偶者の税額の軽減、計算方法と留意点。小規模宅地等特例との併用配偶者の税額軽減を使う場合でも申告は必要
ただし、配偶者の税額軽減を使おうと思った場合、相続税の申告書に「配偶者の税額軽減額の計算書」をつけて提出し、税務署から適用を認めてもらわなくてはなりません。
申告を怠ると「無申告加算税」の対象になり、余分に税金を払わなくてはならなくなります。 具体的な無申告加算税は次のようになっています。
- もし申告せずにいたが、期限後に申告しなくてはならないことに気づいて自ら申告した場合の税率は通常の納税額の5%
- 税務調査が入って無申告を指摘されたために申告した場合は、①納税額のうち50万円までの部分は通常の納税額の15%②納税額のうち50万円を超える部分は20%
このように、元々の納税額によっては非常に大きなダメージとなりますので気をつけなくてはなりません。
もし申告期限までに遺産分割協議が整わなかったら
配偶者の税額軽減を適用する前提としては、遺産分割協議が整っていることです。
仮に相続税の申告期限である「相続開始を知った翌日から10カ月」までに遺産分割協議ができなかったとしても、法定相続分で分割したものとみなして申告しておかなければなりません。
この場合は配偶者の税額軽減を適用できなくなってしまいますが、救済措置はあります。
明らかに期限内に遺産分割ができないとわかっていたら、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、申告期限から3年以内に分割した場合は配偶者の税額軽減の対象とすることができます。
さらに、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合でその事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、配偶者の税額軽減を受けることができます。
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