相続人は子供3人ですが、財産は殆ど被相続人が住んでいた土地建物だけで売却した金額を3等分しようと思っているのですが、相続税は売却代金で申告するのでしょうか?
質問者:K.E
相続における不動産の評価は若干面倒なところがあり、遺産分割協議における考え方と、税法における考え方は異なっています。
遺産分割協議における不動産評価方法
たとえば、遺産分割協議における不動産の評価は法的に決まっていません。いわゆる「市場価格(実際、売買した際につけられる金額)」でもよいですし、「固定資産税評価額」や「路線価」など、どのような基準を使ってもかまいません。要するに、遺産分割協議に参加する法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員が納得していればそれで良いのです。
ただ、評価方法についても反対する相続人がいれば調停などで争いになることがあります。
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税法における土地の評価方法
税法における不動産評価は決められたルールがあります。ここを恣意的に決めてよいとなれば税額が不公平になるからです。
土地については、路線価が定められている土地(主に市街地の道路にそった宅地)についてはそれを使います。 路線価とは、国税庁が定めた基準であり、宅地の1平方メートルあたりの評価額を正面、側方、二方という形に分けて設定しています。路線価は国税庁のホームページや各税務署で閲覧することができます。
ただ、路線価は基本的に正方形の土地を基準として定められているため、土地の形状などによる補正を加えて計算することになります。道路からの奥行きが平均よりも長い、短いなどで補正をする「奥行価格補正」や、角地である土地の補正をする「側方路線影響加算」などです。
なお、市街地以外の場所では「倍率方式」という評価方法が取られています。これは国税庁が設定した「評価倍率」に「固定資産税評価額」を掛けて計算するというものです。なお、この評価倍率の一覧も、国税庁ホームページ、各税務署で閲覧することができます。
▶相続税と路線価|路線価方式による土地の評価方法、路線価図の見方、相続税評価額の計算方法
税法における建物の評価方法
建物については、自用家屋(自分で使用するための家屋)なら固定資産税評価額をそのまま使用することができます。 ただし、賃貸用(自分の家を他人に貸している場合)に用いている家屋の計算方法は異なります。 たとえば、自分の家屋を他人に賃貸している場合、次のような計算式になります。
価額=自用家屋の評価額-(借家権割合30%×賃貸割合)
つまり、自分の家の評価額から他人に貸している分の権利を差し引いたものが貸家の評価額になるということです。 もし自用で評価した場合に3,000万円相当の価額ならば、借家にした場合はすべてを賃貸にしていたとすると2,100万円として評価されることになります。
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