【よくある質問】遺言書で遺留分に気を付けるようにといわれました。どういうこと?
遺留分とは何?
「遺留分」というのは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された「必ずこれだけは権利がある相続分」のことです。
具体的には、以下のとおりです。
- 基本的に法定相続分(民法で定められた相続分)の2分の1の割合
- ただし、直系卑属(親、祖父母)のみが相続人となる場合は法定相続分の3分の1の割合
遺留分は、被相続人(亡くなった人)との関係性を考慮し、相続人の今後の生活保障をする意味で設けられている制度です。
遺言書と遺留分どちらが優先|相続で揉めないための遺留分についての全知識
遺留分に反する遺言も無効ではない
ただ、もし遺言者がこの遺留分制度を知らなかったり、知っていてあえてそれに反する遺言書を作った場合であっても、遺言書自体が無効になるわけではありません。
もし、遺留分に反していれば遺留分の権利を持つ相続人が自分の遺留分を侵害している相続人に対して「遺留分減殺請求(=遺留分を自分に返してほしいという請求)」をする権利があるというだけです。
つまり、遺留分権利者がその遺言書を黙認していればそのまま相続することもできますし、遺留分減殺請求自体に時効がありますのでそれを過ぎればそのまま何の問題もなく遺言書の内容を実現することができます。
▶相続人が必ずもらえる遺留分|計算方法と侵害された時の対処法、遺言書での注意点具体的にどのような手順で作成すればよいか
では、遺留分に反しない遺言書を作成するにはどうすればよいのでしょうか。まず、自分の相続財産の見込額を試算してみることです。
もちろん預貯金の金額など変動することが前提の財産もあるので、それを加味しておくことが必要です。 不動産など、金銭的価値がわかりづらいものがある場合、できれば税理士等に相談して金額を把握しておくことが大切です。
人によっては、この試算を行うことによって相続税対策の必要があることが判明することもあるからです。 たとえば、全相続財産が2,000万円ほどで、見込みの相続人が妻、子供2人のケースを考えてみます。
各人の遺留分の割合は妻が4分の1、子供がそれぞれ8分の1ずつということになります。
よって、遺言書を作る際は妻の取り分として500万円以上、子供たちにはそれぞれ250万円以上を確保すれば一応、遺留分は満たされていることになります。
その後の相続財産の変動が大きい場合は遺言書そのものを書き換えることもできますが、多少の誤差であれば不足している遺留分を相続人同士が金銭等で調整することもできるのではないでしょうか。
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