いきなり両親とも亡くなり兄弟姉妹で相続することになりましたが、法律で決まっている分け分(全員均等)と違っても大丈夫なものでしょうか?
質問者:H.S
法定相続分(民法で定められた相続分)というのは相続人に強制されたものではありません。遺言書で決められた配分や、相続人全員での遺産分割協議によってその配分を変えることができます。
法定相続分によれば子供は均等に相続する
民法上、「第1順位相続人」とされているのは「子供」ですが、子供であればたとえ「養子」であっても「非嫡出子」であっても実子と同じ配分で相続権があります。 以前は非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、平成25年に最高裁判所で両者を差別することは憲法違反であるとの判断が下されたため、現在では民法の条文が改正されて非嫡出子も嫡出子も均等の相続分となっています。
遺言書があれば優先する
ただ、法定相続分というのはあくまでひとつの目安を示したものに過ぎず、必ずしもこれに縛られる必要はありません。 もし、被相続人(亡くなった人)による遺言書で指定の相続分が示されていればそれが優先されるべきであるとされています。ただ、遺言書の内容が遺留分(各相続人に保障された取り分)を侵害していることがわかれば、侵害を受けた相続人は自分の相続分を取り戻すために「遺留分減殺請求」をすることができます。
遺産分割協議で決めることもできる
また、遺言書が存在しない場合は相続人全員が「遺産分割協議」を行うことにより任意に配分を決めることもできます。遺言書があったとしてもそれと異なる配分をすることに全員が合意すればそれでも差し支えありません。
遺産分割協議はたとえ連絡が取れなかったり、行方不明の相続人がいたとしても無条件にその人を外してすることはできません。連絡先がわからない場合は、他の相続人から「戸籍の附票」を取り寄せることにより現在の住民票上の住所を知ることができますのでそれを手掛かりに連絡を取ることができる可能性もあります。また、行方不明者がいる場合は家庭裁判所に「不在者の財産管理人」の選任申し立てをする必要があります。 そして、近年よくあるのが、相続人の中の一人が認知症になっており遺産分割協議ができないケースです。
このような場合はやはり家庭裁判所による「成年後見人」という制度を利用しなければなりません。ただ、成年後見人は遺産分割協議が終わっても認知症の本人が死亡するまでその職務が継続するため、若干ハードルの高い手続きといえます。 利用する際は家庭裁判所や法律家に制度の趣旨や内容をよく確認してから申し立てをする必要があるでしょう。
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