無記名債権が相続で問題になるのはどういうことでしょうか?
最近、ニュースでやっていましたが、無記名債権とは何でしょうか?無記名債権によって相続で問題になったり脱税になるんでしょうか。
「無記名債権」とは、債券に権利者の名前が表示されていないものです。具体的な例としては商品券や乗車券、劇場の入場券、割引債等がこれにあたります。無記名債権を実際に権利を行使できるのは「証券の事実上の所持人」です。それを利用した脱税行為が見つかり問題になりました。
無記名債権も相続財産になる
無記名債権も相続財産として扱われます。
以前、商工中金から「ワリショー」、みずほ銀行から「ワリコー、リッキー」といった商品名で発売されていた「割引債」というものがあり、これは無記名で発行することができていた債券です(なお、現在ではこの商品の新規発行はされていません)。
「割引債」とは、たとえば1万円の債券を最初に9,900円で割引購入して最終的に1万円で払い戻してもらえるというものです。
購入する際に債券現物を預かる形にすれば住所や氏名を発行銀行に伝えなくても済むため、現金を割引債に変えて保有し、相続税申告の際にその分を相続財産から除外するという手法もよく使われていました。
しかし、これは税務調査が入った際、かなりの確率で税務署にばれていたという実態がありました。税務調査とは、納税者が正しく税務申告をおこなっているか調査することです。
無記名債権を税務署が見つける方法とは?
では、税務署が相続税の税務調査をする時にどうやってこの「無記名債権」の存在を見つけるのでしょうか?
彼らが目を光らせているポイントの一つに「使途不明の現金」の行き先、というものがあります。
預金通帳からある程度まとまった現金がおろされているのでその使途を追及すると、相続人から納得できるような答えが返ってこないことがあります。
生活費や娯楽費にしては多額すぎる、となるとそこで疑ってかかるのが「割引債」の購入となるのです。もし疑いがかけられると、債券の現物を発見するまで家のあらゆるところを徹底的に調べ上げられることになります。
やはり王道の節税方法をとるべき
こういった「脱税行為」が発覚すれば「相続税の申告書を出していた場合で35%」「申告書を出していなければ40%」など、非常に重い「重加算税」がかかってきます。重加算税とは、申告内容を仮装・隠ぺいし脱税した事実が見つかった場合に課される最も重いペナルティです。
また、脱税行為そのものの悪質性が高ければ刑事事件として告訴されることもあります。
そのような事態にならないためにも無記名債権を持つ側はその存在をしっかり将来の相続人に伝え、財産リストに掲載するなどして自身の相続が発生した後、正確に申告できるように準備しておくべきです。
もし相続税節税を考えるのであれば当たり前のことですが「脱税」にあたる手法は厳禁で、税理士に早い時期から相談し、合法的な方法で行わなくてはなりません。
節税対策として代表的なものは、年間110万円までの暦年贈与や生命保険の契約、墓地や仏具などを生前に購入して相続財産を減らすことなどです。遺言書を作成しておくのも良いでしょう。
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