【よくある質問】配偶者に対する相続税額の軽減の適用にあたり、財産取得の状況を証する書類として「特別受益証明書」が該当しますか?
本記事の内容は、原則、記事執筆日(2019年7月2日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
配偶者に対する相続税額の軽減の適用にあたり、財産取得の状況を証する書類として「特別受益証明書」が該当しますか?
相続税における配偶者の税額軽減を利用するには、相続税法施行規則に定められた書類を提出しなくてはなりませんが、相談者のケースで「特別受益証明書」を財産取得状況を証する書類として添付することはできません。
▶配偶者控除で相続税が1.6億円まで非課税|配偶者の税額の軽減、計算方法と留意点。小規模宅地等特例との併用
・特別受益財産の明細を記載した書類
および
・登記事項証明書など各財産が相続人に名義変更されたことが確認できる書類
つまり自己証明だけでは足りず、客観的な証拠書類が必要になるということなのです。
▶相続で揉めないために|公平な財産分与をするために知っておきたいこと
配偶者の税額軽減とは?
配偶者は、被相続人(亡くなった人)の財産を形成するにあたり多大な貢献をしていると考えられるため、また被相続人亡き後の生活保障をするため、相続税について特別の軽減措置が設けられています。 配偶者が遺産を相続した場合、「法定相続分(民法で定められた相続分)」と「1億6,000万円」のいずれか多い金額までであれば相続税はかかりません。 ただ、この適用を受ければ配偶者は相続税が無税になるという場合であっても申告自体は必要なことに注意が必要です。 また、控除の金額は配偶者が実際に取得した額により確定されるので、相続税申告期限(相続開始の翌日から10カ月以内)までに遺産分割協議が終わっていないのであれば適用を受けることができません。▶配偶者控除で相続税が1.6億円まで非課税|配偶者の税額の軽減、計算方法と留意点。小規模宅地等特例との併用
適用を受けるにはどのような手続きをする?
相続税の申告書には基本となる第1表の他に、相続の内容によりピックアップして使われる第2表から第15表とよばれる計算書、明細書などがあります。 配偶者の税額軽減を受けたい配偶者がいる場合は「第5表」という計算書を使用します。ここには配偶者の法定相続分、課税価格、相続税総額などを記入し、配偶者の税額軽減額を計算した上で記入します。 そして配偶者の取得した財産がわかる書類として、「戸籍謄本」と「遺言書の写し」「遺産分割協議書の写し(印鑑証明書つき)」「その他の財産の取得の状況を証する書類」などを添付します。特別受益があった場合の書類は?
もし、特別受益の事実があった場合に上記の「その他の財産の取得の状況を証する書類」として特別受益者が自ら証明した「特別受益証明書」を使用することはできません。 ただし、「相続分不存在証明書」として、真にその者が特別受益を受けているという事実に基づいて作成されており、かつ「相続分不存在証明書」の内容を確認できる書類として下記を提出した場合には「その他の財産の取得の状況を証する書類」として認められるとされています。・特別受益財産の明細を記載した書類
および
・登記事項証明書など各財産が相続人に名義変更されたことが確認できる書類
つまり自己証明だけでは足りず、客観的な証拠書類が必要になるということなのです。
▶相続で揉めないために|公平な財産分与をするために知っておきたいこと
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