【よくある質問】嫡出子でない子の相続分が少し前に変わったと聞きましたがどうなったのでしょうか?
嫡出子でない子の相続分が少し前に変わったと聞きましたがどのようになったのでしょうか?
以前は、嫡出子と非嫡出子には法定相続分(民法で定められた相続分)に差をつけられていましたが、数々の裁判を経て、現在ではそれらの法定相続分は同一になっています。
嫡出子と非嫡出子とは何?
嫡出子とは「法律上、婚姻している夫婦の間に生まれた子供」であり、非嫡出子は「婚姻関係にない男女の間に生まれた子供」のことです。 ただ、この言葉自体が差別的な意味を含んでいるとして現在では「婚内子」「婚外子」といった言葉に置き換えられていることもあります。
従来、非嫡出子の相続分は少なかった
従来は非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする、という民法の規定がありました。ただ、この規定については憲法14条1項の「法の下の平等」に反しているという指摘がしばしば行われ、裁判上で争われてきたという歴史がありました。
嫡出子側としては「家族の秩序、関係を破壊する非嫡出子の存在や相続分そのものを認めたくない」という気持ちがあり、逆に非嫡出子側としては「自分が選択できない事情により相続分を差別されるのは到底許容しがたい」と考えており、それぞれの立場からの主張があったのです。
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平成25年、最高裁によりこれが違憲とされた
平成25年9月4日の最高裁大法廷による判決では「嫡出子と非嫡出子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われている」「非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とするのは法の下の平等を掲げた憲法に違反し無効である」とされました。これを受けて同年12月には嫡出子と非嫡出子の相続分を区別する規定は改正され、両者の相続分が同じになりました。
昭和22年の民法改正時から国民の家族に対する価値観は変化し、婚姻というスタイルは確立されているもののより個人が尊重される社会になったこと、非嫡出子自身にはその出自を選ぶ権利がないことなどを理由として挙げています。 少なくともこの裁判の発端となる相続が開始した平成13年7月時点では、相続分を差別することが時代にそぐわなくなってきたとしています。
しかし同時に最高裁は、これ以降に発生した相続によりすでに遺産分割協議を終え、相続分が確定している部分についてはその効力を否定するものではないとしています。 平成13年よりこの最高裁判決まで約12年の間に行われた遺産分割協議を否定してしまうと法律的な安定性を大きく害することになるので、過去にさかのぼってやり直しをさせる趣旨ではないことをはっきりと示したのです。
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