【よくある質問】絵画を相続し、買ったときは安かったのに現在は数千万の価値があるそうです。相続税はどうなりますか?
絵画を相続しました。買ったときは安かったのに、現在は数千万の価値があるそうです。相続税はどうなりますか?
相続税計算の基礎となる財産評価額について、絵画、骨董品などは購入した際の価格ではなく、売買実例価格や精通者意見価格などを参考にして評価します。
いわゆる「一般動産」はどのように評価するか
家電製品、自動車、宝石、貴金属、書画などは「一般動産」と呼ばれますが、これらも金銭的価値を評価した上で相続税算定のための相続財産に参入しなくてはなりません。
なお、細かい家財道具(1個や1組が5万円以下など少額のもの)は「家財道具一式〇万円」といった価格をつけることもできます。
これらの財産は原則として「売買実例価格(市場に出して売買した際につけられる価格)」または「精通者意見価格(その分野の専門家による鑑定価格)」を参考にして決定されます。
美術品の場合、落款(判子)や署名をもとに美術年鑑で探す方法もあります。また、箱がついている場合は販売された場所や来歴等、価値の判定の際に参考になる記述がされていることもあります。
最終的には美術の鑑定を専門に行っている人をウェブサイトなどを使って探し、その人に鑑定の依頼をするのが最も確実といえます。
▶相続財産調査とは?費用や方法、専門家への依頼方法など【相続財産調査】を徹底紹介お宝として取り挙げられたものは税務署がチェックしている
テレビ番組などで「お宝」を鑑定したり、新聞等でそのようなものを話題にされた場合は必ず税務署にチェックされていると考えた方がよいでしょう。よって、税務調査で指摘される前に必ず自主的に相続財産に参入しておくようにしなくてはなりません。特に高価な美術品は税務調査の標的になりやすいです。
故人の趣味が書画や骨董の収集だった場合は漏れなく調査
相続人が把握しているものだけではなく、その他にもどこかに収集品が保管されていることがあります。古くからある家の場合は蔵や納戸、仏壇などが保管場所として可能性が高いため、そのような場所をしっかり調査して漏れのないようにしなければなりません。
相続税は他の税金と比べて税務調査の確率が非常に高くなっています。大体4、5人に1人くらいの割合で税務調査が入り、入ったところの8割に対して追徴課税がされています。
追徴される金額も税金と加算税を合わせて500万円以上にのぼることも多いため、特に1つあたりの金額が高価になりやすい美術品、骨董品については注意しなくてはならないのです。
実際の調査方法や価格評価にあたっては相続税に精通した税理士に相談しながら慎重に行うことをおすすめします。
美術品の納税猶予
平成30年度の税制改正において「特定の美術品に係る相続税の納税猶予」という制度が創設されました。この制度は、一定の条件を満たした美術館などに特定美術品の寄託契約を締結し、保存活用計画の認定を受け、その美術館に寄託していた被相続人に相続が発生した場合において、その特定美術品を相続した相続人が寄託を継続したときの制度です。
要件を満たした場合、その寄託相続人が納付すべき相続税額のうち、その特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することができます。
この特例を使用するためには、被相続人が生前から美術館や文化庁に手続きをすることから始まり、相続が発生した後も届出書などのいろいろな手続きが必要です。もし利用を検討している場合は、相続に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
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