【よくある質問】不動産を相続したが相続税を払う現金が足りない。どうすればいい?
土地家屋だけを相続しましたが金融資産はなかったです。そのため、相続税を払うために借金しなくてはいけませんか?
相続税の納付は原則として申告期限までに、現金で行わなくてはなりませんが、中には現金を持ち合わせていない人もいます。そのような場合、延納や物納などの代替手段が考えられます。
相続税の申告・納税
相続財産の構成として不動産が多い場合は特に納税資金に難儀しやすいケースといえます。
相続税は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という基礎控除の範囲を超える相続財産がある家庭にしかかからないため、それなりに資産を持つところが対象ではありますが、すべてが「流動性のある(=換金しやすい)財産」ではありません。
相続税は、相続開始を知った日、つまり通常は被相続人(亡くなった人)の死亡日の翌日から10ヵ月以内に申告・納付をしなくてはなりません。納付は原則現金です。
相続財産調査、相続人調査から始まり、節税面なども考慮した遺産分割協議を行い、申告の準備をし、現金を整えて・・とすべてのプロセスを行うのに10ヵ月というのは非常に短い期間です。
そのため、親の財産額はあまり聞いていなかったなどの事情で高額な相続税に驚いて「とても準備できない!」と慌てる人もいます。
▶遺産相続の期限はいつまで?手続きの流れと完了までの期間現金で納められない場合はまず「延納」を検討
相続税を現金で納められない見込みになってきたら、必ず相続税の申告期限前に税務署に「延納申請」をしておきましょう。
延納とは、相続税を原則5年以内の分割払いにしてもらう方法ですが、いくつか条件が定められています。
- 税額が10万円を超えていること
- 現金で一度に納めるのに困難な事由があること
- 担保を用意すること
もし、延納申請に添付された必要書類を見て、税務署が条件を満たさないと判断された場合は却下されたり、担保物の変更を求められることもあります。延納期間中は利子税がかかります。
相続税を支払うためにローンを組むことができる
どうしても期限内に相続税を払いたい場合、金融機関や不動産会社が提供している支援ローンを検討しても良いでしょう。ローンにも利子がかかるため、延納とどちらが良いか比べて費用がかからないほうを選択しましょう。
延納しても現金納付が無理であれば「物納」を検討
もし、上記の延納により分割で納めることも難しいのであれば、不動産などで納める「物納」という方法があります。
ただし、物納の条件はかなり厳しく、以下の点をクリアしなければなりません。
- 延納しても現金で納められない、やむを得ない理由があること
- 物納する財産が国内にあり、一定条件にあてはまること
- その財産が物納できない財産ではないこと
- 物納申請書などの必要書類を相続人の納付期限までに提出すること
物納できる財産とその順位などは厳格に定められており相続人の都合で決めることはできないため、実務上認められることは非常に困難であるとされています。
納付期限に遅れると延滞税がかかる
延納申請をせず納付期限に遅れた場合、延滞税がかかります。
延滞税とは、税金が定められた期限までに納付されない場合に納付する日までの日数に応じて課される、利息に相当する税金です。
延滞税の税率については、納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.4%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年8.7%となっています(令和5年1月1日~12月31日)。
相続税について疑問や不安のある方は、一度税理士に相談してみるのがおすすめです。
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