【よくある質問】夫が亡くなってから生前の浮気が発覚、隠し子がいたら相続の権利はあるのか?
夫が亡くなってから生前浮気をしていたことが発覚し、さらに子供がいることがわかりました。この場合、その子供にも相続の権利があるのでしょうか。
相談者のケースで、浮気相手との間にできた子供に相続権があるかどうかは、ご主人がその子供を認知したかどうかで結論が異なります。
嫡出子と非嫡出子
日本の民法では、出生する子供を大きく「嫡出子」と「非嫡出子」に分けています。前者は、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供、後者は婚姻関係ではない男女の間に生まれた子供を指します。
非嫡出子については、母親との親子関係は分娩という事実によって確定することができますが、父親との親子関係は認知によって発生します。認知とは父親が血縁上自分の子だと認めることです。認知されると父親の戸籍にその事実が記載されます。
つまり、このケースではご主人が認知の手続きをしていたら父親としての子供に対する各種の義務や子供の相続権が発生することになるのです。
非嫡出子の相続権
もし、認知によって父親との親子関係が生じると、父親には子供の扶養義務が発生します。 また、父親が死亡した場合に子供に相続権が発生します。
以前、民法では「非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1」と定められていました。
ただ、この定め自体が「日本国憲法が保障している法の下の平等」に反するという指摘が以前からされてきており、不合理な差別ではないかという議論が戦わされていました。
結果として平成25年9月4日の最高裁判決で、非嫡出子の相続分を少なく定めていることは違憲であると判断されました。これによって嫡出子と非嫡出子の相続分は平等となったのです。
▶異母兄弟も相続人!相続の順位と割合や代襲相続、遺留分など完全解説!家族関係が複雑な家庭には遺言書が必須
相談者のように嫡出子、非嫡出子が両方いるケース、また、被相続人(亡くなった人)が再婚しており両方に子供がいるケースなどでは被相続人の死亡後、相続をめぐって紛争が発生する確率は通常の家庭よりも非常に高くなるといえます。
もし、遺言書がなければこういった複雑な当事者である法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)が全員で遺産分割協議をしなければならないことになるため、現実的に不可能ということも多くなります。
話し合いができなければ家庭裁判所に調停を申し立てるなどの方法しかなくなってしまいますので、できればこういった事態を未然に防がなければなりません。
一番有効な方法としては、被相続人が相続人各人との関係を考慮した上で財産の配分を決め、それを公正証書遺言の形で残しておくことです。
できれば、「付言」という項目をつけてなぜその配分にしたのかということも明記しておくことが望ましいでしょう。こうすれば各相続人が納得しやすいこともありますし、手続き上もとても楽になるからです。
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父親が亡くなった後にされた認知を「死後認知」といいます。死後認知を受ける最大のメリットは、戸籍上の親子関係となり父親の相続権をもつようになることです。
死後認知のためには、家庭裁判所に認知請求訴訟を提起しなくてはなりません。認容判決(死後認知訴訟の勝訴判決)を得て、父親との法律上の親子関係が認められることになります。
死後認知の手続きは、家庭裁判所に認知請求訴訟を提起し、認容判決を得て、これが確定すると、役所に認知届を提出するという流れになります。 死後認知請求訴訟を提訴できる人は通常は非嫡出子本人となります。
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