父が1人で住んでいたマンションを相続することになりましたが、マンションは1戸建てより評価が低くなるって本当ですか?
質問者:T.H
マンションは一戸建てと比較して、土地部分を他の部屋の所有者と共有で持っているため、評価が安くなることが多いといえます。
マンションの権利関係と評価
マンションは、一戸建てとは権利関係の構造が若干異なります。 一戸建てでは建物と土地は別々の登記簿として構成されており、それぞれ別々の権利の動きをすることもあります。(たとえば土地所有者が親で、その上に子供名義で建物を建てているなどが典型例)
これに対し、(古い建築年のものには例外もありますが)マンションでは登記簿は土地と建物が一体化しています。具体的には、「専有部分(101、102など部屋ごと)」に1つ登記簿があり、そこに「敷地権」として土地の持分がついているといったイメージになります。(これを「区分所有」と呼びます)
マンションの土地というのは所有者全体で共有していますが、非常に持分の単位が細かくなっており、マンションの建つ土地全体の評価をその持分で割って計算しなくてはなりません。そのため一戸建てに比べて評価額も安くなる傾向があります。
その部屋を所有する人の土地の持分は登記簿の「敷地権割合」というところに表示されていますので、土地部分の固定資産税評価額を計算する際には「固定資産税評価証明書」の評価額を敷地権割合で割ればよいのです。 なお、建物部分についてはそれぞれの部屋ごとの「固定資産税評価額」をそのまま使えばよいことになります。
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どのように評価すればよいのか?
不動産の評価というのは、相続税で使う場合と遺産分割協議に使う場合で異なることがあります。 相続税で使う評価は、土地については「路線価方式」もしくは「倍率方式」という評価方法を使います。路線価というのは、道路ごとにつけられた1平方メートル当たりの路線価に土地の面積を掛けて評価額を出す方法で、国税庁のウェブサイトや税務署で「路線価図」を閲覧して確認することができます。 路線価が出されていない土地に使うのが「倍率方式」ですが、これは、固定資産税評価額に一定の決められた倍率を掛けて評価を算出します。 建物については固定資産税評価額をそのまま使用しています。
また、遺産分割協議の際に用いる評価方法は法律などでの決まりはありません。 「固定資産税評価額」「路線価」「実勢価格(実際に市場に出した際の売買価格)」など、どれを用いてもよいのです。ただ、それらの間には100:80や100:70など、かなり価格の隔たりがあることも考えられるため、相続人それぞれが納得できるものを選ぶことが必要になってきます。
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