学生時代に親からもらっていた仕送りには贈与税がかかりますか?
私は大学入学時に地方から上京したので、毎月15万ほど仕送りをもらっていました。これはもしかして贈与税がかかりますか?
扶養すべき者に対する贈与は無税
基本的に、贈与税は年間110万円を超える贈与を受けた受贈者が申告・納税の義務を負っています。
暦年課税方式であれば「特例税率」と「一般税率」の2種類の税率があり、贈与者が誰かということや贈与された額によって税率や控除額が変わってきます。相続時精算課税制度では特別控除額を差し引いた額に対して、税率は一律20%となります。
ただ、そういった基礎控除の範囲や各種特例をまったく考えなくてよい贈与もあります。 扶養の義務を負っている者(たとえば親)から受けた生活費や教育費については金額を問わず無税となるのです。
ただし、やり方を間違えると「生活費・教育費」と認められないこともありますので注意しなくてはなりません。
▶生前贈与とは?失敗しないための基礎知識をわかりやすく解説【行政書士監修】贈与税がかからない場合
国税庁ホームページでは、「原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。」とされています。
- 法人からの贈与により取得した財産
- 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
- 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
- 奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの
- 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
- 公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの
- 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
もらったお金を他の用途に使うと課税される
生活費・教育費の贈与であると認められるためには「もらったら目的のためにすぐ使う(=言い換えると、使い切る分のみその都度贈与する)」「必要な現物を買って贈与する」「必要な生活資金を贈与者のクレジットカードで決済する」など、用途を明確にしておく工夫が必要です。
もし、現金をもらって他の物を購入するようなことがあると通常通り贈与税が課税されてしまうことになります。
贈与税の時効はあるの?
贈与税は申告期限から6年で時効消滅します。
つまり、申告せずこの期間を経過するともう徴収できなくなるのです。(相談者の事例ではそもそも生活費、教育費として贈与税の対象ではないため、6年を経過するか否かにかかわらず贈与税の申告義務はありません)
ただし、ここには落とし穴があり、「そもそも贈与と認められない」といった場合は贈与者の財産に留まっているとされ、贈与者が死亡した時に贈与者の相続財産に組み込まれてしまいますので結局、相続税が課税されることもあります。たとえばよくあるのが「名義預金」といって、単に親が子供名義の口座を作ってそこに現金を入れただけで実質的な管理を親が行っているような場合です。
これは本人が贈与したつもりでも、実質的には親の財産として税務署には認められないことが多いです。確実に贈与にしたいのであれば贈与契約書を作成し、通帳は子供自身が管理できる状態にしておかなくてはならないのです。
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また、税務の話とは別ですが、特定の相続人だけの学費が飛びぬけて高い場合に「特別受益」といって、遺産分割協議の際にその分を考慮してバランスを取るべきかどうかという問題があります。特別受益とは被相続人から一部の相続人に贈与された特別な利益(生前贈与や遺贈、死因贈与で受け取った利益)を言います。
これは、親の資力他の兄弟との差など総合的な観点から見るため、いくら以上なら特別受益、などという決まった基準はありません。
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