相続税を申告の際に税務調査があると聞きましたが、どんな調査をされるのでしょうか?
質問者:S.N
相続税の税務調査は他の税務申告と比べても件数が多いものですが、さまざまな視点から調査をされ、高い確率で申告漏れを指摘されます。
相続税の税務調査
相続税の税務調査はどのくらいの頻度で行われるか 相続税については、大体相続税の申告4、5件に対し1件程度の割合で税務調査が行われています。そして、税務調査を受けた案件の8割程度は何らかの指摘を受けて追徴課税をされているというのが実態です。
相続税が課税される家庭というのは基礎控除「3000万円+(相続人の数×600万円)」を超える相続財産を保有していることが前提ですので、その分隠蔽される対象となる財産がある可能性が高いこと、追徴課税に耐えうるだけの担税力(税金を負担する能力)があることが理由でしょう。
特に税理士が関与していない申告、申告書の記載が大雑把とみられるもの、相続財産に関する資料が少ないものなどは税務調査の対象になりやすいので注意が必要です。
▶相続税の基礎控除|計算方法や申告の必要の有無
申告漏れはどのようなものを対象に行われるか
税務調査の方法は多岐に渡ります。 被相続人(亡くなった人)の生前の地位や職業から考えて、税務署側ではおおよその資産を予測していますので、それと比較して著しく少ないなどの場合は何らかの形で隠していることを疑わざるを得なくなります。
税務署から指摘されるものとして非常に多い項目には次のようなものがあります。
・子供や孫への「名義預金」
これは、子供や孫の名前で銀行口座を開設し、そこに被相続人の資産を移しているパターンです。このようなことをする場合は、贈与契約の証拠があり、口座名義人自身が預金を管理できるようになっていなければ贈与とは認められません(よって、贈与における非課税の枠なども使えません)。
・子供が勝手に引き出していた預金 も
ちろん、親の介護資金など明確な目的がある場合もあるでしょうが、そういった場合には書面で証明できなければ子供のための出費とみなされ、相続財産に持ち戻して相続税を計算することになります。
・申告していなかった死亡保険金
死亡保険金は、他の相続人と遺産分割協議をしなくても受け取れる「受取人固有の財産」ではありますが、相続税の課税対象としてカウントされるものです。
・相続手続きを経ていなかった相続財産
これは、今回の被相続人が親などから相続していた財産につき、未分割だった分のことです。特に不動産は見落としやすいのですが、未分割財産であっても被相続人自身の財産の一部としてカウントしなくてはなりません。
代表的には上記のようなものが通帳その他の資料を調査され指摘を受けやすいのですが、それ以外にも自宅にある美術品、財産価値のある樹木(松)など、ありとあらゆるものが「資産価値あり」として申告漏れの指摘を受ける可能性があります。 後から申告漏れを指摘されないためにも、税務調査を受けやすい相続税は特に最初から税理士に相談する必要性が高い手続きといえます。
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