遺産分割協議合意済みの相続だったのですが合意をした相手方が不満を述べてきました。
質問者:K.U
遺産分割協議が終わった後で、「そんなつもりではなかった」というクレームをつける相続人が出てくる場合もあります。 もちろん、関与した専門家に状況の説明をしてもらうことは可能でしょうが、一度実印を押印した遺産分割協議書の内容を覆すことは容易ではないでしょう。
遺産分割協議書に押印する前に確認する
法律に触れたことのない多くの人は、遺産分割協議の内容を提示されてもあまりそれを熟考しないで実印を押してしまっているのが実態です。また、「兄からとにかくここにハンコを押せ、と言われて言われるがままに押してしまった」と後悔する人もいます。 後から「なぜあの時あのような分割をしてしまったのだろう」と思わないためには、遺産分割協議の内容を提示された時点で、もし法律知識がなくても担当した専門家に内容を説明してもらい、理解する努力をするべきです。
もし、ある法律家の説明がどうしてもわかりにくいとか、威圧的で質問ができないなどの事情がある場合は他の専門家に有料相談をしてでも理解しておかなければならないのです。
実印を押すことの重大さを理解する
実印を押すことの意味をあまり深く捉えていない人も多いのですが、実印を押す=その契約書や協議書の内容を了解しているということの裏付けです。たとえば、実印を家族から勝手に持ち出されたなどの主張をしても、それは「誰もが持って行ける場所に保管していたなら本人の責任」というのが一般的な法律的結論になりますのでその言い分は通用しないことになります。
仲裁まですると弁護士法違反となる可能性も
では、相談者の例では担当した税理士にどこまでしてもらうことができるのでしょうか。税理士の代理する業務はあくまでも税務申告であり、それに付随して相続人の調査や遺産分割協議書の作成なども行いますが、協議の内容にまで踏み込むことはできません。 相続人の間での遺産分割協議について関与できるのは、あくまでどの程度の財産があるか、誰にどれだけ法定相続分があるか、税務的に有利な分け方は何かなど、法律、税務や事実の説明に過ぎないのです。
よって、たとえば遺産分割協議に不満を持つ相続人がいたとしたら、その相続人との間の仲裁などを頼む場合は弁護士に依頼しなければならないこととなります。税理士、司法書士、行政書士など弁護士以外の専門家がこのようなところまで関与してしまえば「弁護士法違反」で懲戒の対象になることもありますので依頼者側もそのことを知っておきたいものです。 ただ、弁護士に頼んだとしても、上記の通りいったん実印を押してしまった遺産分割協議書はそれぞれの相続人の意思表示を裏付けるものとみなされるため、内容を覆すのはそう簡単なことではありません。
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