すでに独立した子供とは別に内縁の妻にも遺産を残したいのですが、相続させることは可能でしょうか?
質問者:Y.K
内縁の奥様に財産を残すことはできますが、その場合は「相続」ではなく「遺贈」という形になります。
「内縁」とは?
「内縁」とは法的な婚姻関係にはないものの、それと同様の状態にある男女のことをいいます。どこからが内縁関係と言えるのかが難しいのですが、次のような項目を総合的に判断して内縁関係の成立が認められるでしょう。
・共同生活の実態がどのようなものか
・お互いの親族や友人などとの関係性がどの程度あるか
・結婚式などの儀式を行っているか
こういった点を考えて、内縁関係と思われる場合には一応、法的な夫婦と同様に「扶養義務」「同居義務」「貞操義務」などが発生します。 ただ、相続に関してはまだ完全に法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)からは除外されていますので、もし入籍しないで添い遂げようとする場合は何らかの対策を考えておかなくてはなりません。
▶相続人とは|法定相続人の範囲や順位、法定相続分と遺留分
内縁の妻に財産を残す具体的方法
もし、夫が何もしないで死亡してしまった場合、基本的に内縁の妻は相続財産については手も足も出ないことになります。 ただ、法定相続人が誰もいない場合には「特別縁故者」という形で財産分与の請求をすることができるケースもありますが、これは裁判所が認めなければもらえないためそう簡単なことではありません。
やはり、確実に内縁の妻に財産を渡したいのであれば少しずつ生前贈与しておくか「遺言書」を書いておくしかないということになります。 他に法定相続人がいるケースで内縁の妻に財産を残すのであれば「公正証書遺言」にすることを強くおすすめします。
▶公正証書遺言の作成方法/流れ・費用・必要書類と遺言書の種類別一覧
子供との間に紛争がおきない配慮を
遺贈にあたって公正証書遺言を使うべき理由ですが、「遺言書の信ぴょう性」についての疑いを晴らすことです。 自筆証書遺言(家で書かれた遺言書)の場合、多くは財産をもらえなかった親族がクレームをつけてきます。特に、入籍していない他人への遺贈には抵抗感を示す人が多いでしょう。
その点、公正証書遺言であれば「これは偽物だ」という疑念を差し挟む余地はほぼありません。公証人がきちんとした意思確認を行っていないケースもありますがむしろその方が稀であり、ほとんどの場合、遺言者本人の意思で行われていることは明白です。
また、遺贈の内容についても細心の注意が必要です。感情のままに「全財産を内縁の妻に」などとしてしまえば、子供達から「遺留分減殺請求(法定相続人に最低限保障されている取り分を取り戻す手続き)」をされ、紛争になるおそれもあります。できれば法律家に内容を相談した上で慎重に作成するようにしましょう。
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