【よくある質問】父が亡くなる前に再婚した若い妻に、遺産の半分取られるのは納得できません。
父は亡くなる前に母と離婚して若い女と再婚しました。連れ子も一人いて、父と養子縁組したそうです。この女に父の遺産を半分取られるのがムカつきます。どうにかなりませんか?
法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)とは、被相続人(亡くなった人)との関係性を問わず単に戸籍上の身分関係に基づいて決められています。
よって、相談者の場合も不本意ではありますが、後妻との婚姻届けが出されているのであれば後妻とその子供(養子縁組している場合に限り)に相続権があるという結論になります。
配偶者はいかなる場合でも相続人となる
民法による法定相続分の規定では、配偶者は必ず相続人となり、その他の親族については第1順位が子供、第2順位が直系尊属(親、祖父母)、第3順位が兄弟姉妹となっています。
配偶者については婚姻期間による相続分の差はなく、結婚した翌日に相続が発生した場合も、50年後に発生した場合も同じ取り分となります。
また、子供については実子も養子も同じ割合での相続分になります。また以前は非嫡出子(婚外子)は嫡出子の半分しか相続権がありませんでしたが、現在では平等の割合となっています。 相談者のケースでは、お父様が後妻の連れ子と養子縁組をしていたという事情のようですので、相談者とまったく同じ相続分です。
ちなみに、連れ子でも養子縁組していなければ相続権はありません。
これは納得がいかないでしょうが、被相続人との関係を踏まえて適切な相続分を主張したいのであれば遺産分割協議でその旨を相手と話し合うか、話し合いがまとまらなければ調停などを利用するしかないことになります。
再婚した人は遺言書の作成が必須
このように、再婚してしかも双方に子供がいると遺産相続は厄介になる可能性が高いのです。
よって、被相続人が元気なうちに自分の立場から見て不公平と思われる相続分を「遺言書」を使って明示させておく必要があります。
遺言書がある場合でもその真偽をめぐり紛争になることもしばしばあるため、必ず公証役場に行き「公正証書遺言」の形で書いておくことをおすすめします。公正証書遺言とは公証役場で作成する遺言書です。2人以上の証人の立ち会いのもと、公証人が作成します。
ただ単に配分を示すだけではなく、なぜそのようにしたかという根拠を「付言」によって記しておくと良いでしょう。
▶遺言書の種類・書き方・作成方法や法的効力をわかりやすく解説【行政書士監修】うっかり養子縁組を忘れると思わぬことになる
また、実務的に意外とある話なのですが、「養子縁組してると思っていたのにしてなかった」というケースです。
被相続人が亡くなってから養子同様に暮らしていた人が「実は戸籍上、養子縁組がされていなかった」ことに気付いて慌てることがあります。
そうなると遺産をもらえないだけでなく、本来相続人としてできる手続き(戸籍の取り寄せや銀行の手続きなど)も一切できなくなってしまい、手も足も出ないということになりかねません。
本人たちも思い込みに頼らず、一度戸籍を取り寄せてしっかり確認しておく方がよいでしょう。
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