親の世話をみているので他の兄弟より多くの相続をもらえますか?
質問者:Y.H
兄弟の間で実家との関わり方、介護の面などで差がついてしまうことはよくあります。しかし基本的に相続分というのは親に対する貢献度により変わってくるものではありません。
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子供の間での相続分は基本的に平等
遺言書で被相続人(亡くなった人)が別段の定めをしている場合はともかく、遺言書がないのであれば子供の間では相続分は完全に平等です。
以前は非嫡出子(婚外で生まれた子供)については嫡出子(婚姻している夫婦の間に生まれた子供)の2分の1だったのですが、平成25年に最高裁判所が「両者に差をつけることは憲法違反である」という判断を下したことから民法改正され、現在では子供相互間はどのような立場であっても平等とされています。
ただ、やはり親と完全に音信不通だったような子供と、何十年も親に尽くしてきた子供が同じ相続分ということが感情的に納得いかない場合もあるでしょう。 そのようなケースで取りうる選択肢として「寄与分の主張」が考えられます。
「寄与分」とは?どのような場合に主張できる?
相続人の間で被相続人への貢献度が明らかに異なる場合に、著しい貢献をした相続人の相続分を増やすことができる制度が「寄与分」です。寄与分が認められるのは次のような相続人です。
- 被相続人の事業に関する労務の提供をした
- 被相続人の事業に関する財産上の給付をした
- 被相続人の療養看護をした
もし寄与分が認められる場合は
- 相続財産から寄与分の金額を差し引いて、みなし相続財産を求める
- みなし相続財産を法定相続分(または被相続人による指定相続分)で分配して各相続人の相続分を求める
- 寄与分を取得する相続人には、上記相続分に寄与分を加算する
の手順で計算します。
なお、寄与分を主張できるのは法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)のみですので、たとえば被相続人の息子の嫁などはいくら義親の看護をしても寄与分は認められません。
また、寄与分は相続人全員の協議で決められますので一方的な意思表示のみで成立するわけではありません。
もし話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになりますが、実際に寄与分が認められるためのハードルはかなり高くなっています。
通常の程度の介護では難しく、同居して衣食住の面倒を見ていた、無償で長期間介護していたなど様々な要件をクリアして初めて認められるものです。
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