父親の高価な美術品や骨董品を相続することになりましたが、相続税を払えそうもありません。
質問者:H.K
書画や骨董品というのは興味のある人、価値のわかる人にしてみれば大変貴重な財産ですが、まったく関心がない人もいるでしょう。そのような物を相続してしまった場合、どのように処理すればよいのでしょうか。
美術品、骨董品をどのように評価するか
美術品等を相続財産として評価するためにはまず資料を集めなくてはなりません。
・落款(判子)や署名の有無などを確認し、美術年鑑で探す
・箱や資料等に、販売された場所や来歴等のわかる資料、価値の判断ができる箱書きなどがあるかどうか確認する
このような作業を行い、最終的には古美術を専門に取り扱っている人(ウェブサイトなどで調べることができます)に鑑定を依頼して客観的な価格をつけてもらうことになります。 たとえば、テレビや雑誌などに取り挙げられるようなレベルの「お宝」を保有している人は必ず税務署からチェックされていると考えなくてはなりません。
相続税の「物納」はあくまで最後の手段
もし、相続税が払えないのであれば美術品そのもので「物納」すればよいと考える人もいるでしょう。しかし、物納は要件が厳しく、相続人の都合で簡単にできるものではありません。物納が認められるのは一定の条件を満たした次の財産で、さらに順位が決まっています。
第1順位 国債、地方債、不動産、船舶
第2順位 社債、株式、証券投資信託などの受益証券
第3順位 動産(美術品はここに含まれる)
つまり、美術品がいらないからといって、不動産を相続した上で美術品を物納するということはできないのです。もし美術品を手放すことを選択肢に入れるのであれば市場で売却して現金化し、現金で相続税を納付することになります。
ただし、「特定登録美術品」といって、「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」に基づいて相続開始時にすでに登録を受けている美術品については先順位の財産に優先して物納することができます。
相続税の「延納」を先に検討する
上記の「物納」よりも先に検討しなければならないのが「延納」です。(物納は延納もできない場合にのみ認められるため)
相続税を一度に納めるのが難しい場合の「延納」には次の要件があります。
・相続税額が10万円を超えていること
・金銭で一括納付することが困難であり、その金額を限度とすること
・納期限までに延納申請書を提出すること
・延納税額に相当する担保を提供すること
これら4つの要件を「すべて」満たした場合には、税務署から認められれば延納することができます。
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