海外在住の息子に贈与税はかかりませんか?

海外在住の、生活が苦しいと言う息子に仕送りをしたいと思っています。これは贈与税はかかりますか?
そもそも「住所」とは?
税法上の「住所」というのはある人が「生活の本拠」としている場所をさしていいますが、一人についての「住所」は必ず一カ所であるとされます。
住民票がある場所が必ずしも住所とは限らず、滞在日数やライフラインの使用状況など総合的、客観的事実により生活の本拠か否かを判断されます。
ただ、本人はほとんどの時間を自身の経営する店舗にいるなどという場合、滞在時間が長いからといって店舗が住所となるわけではなく、家族が居住する居宅が住所となります。また、留学や海外出張など外国にいる状況が一時的なものであれば日本国内に住所があるという扱いになります。
まずは贈与税の納税義務の判定
贈与者と受贈者が国内、国外に住所があるかによって納税義務があるかが異なります。贈与税の納税義務者は「居住無制限納税義務者」「非居住無制限納税義務者」「居住制限納税義務者」「非居住制限納税義務者」の4つの区分があります。
今回の相談者は日本国内に住所があるそうです。そして受贈者である息子は、国内に住所がない非居住者であるものの、日本国籍を保有しています。
したがって「非居住無制限納税義務者」に該当するため、国内財産・国外財産ともに、日本における贈与税の課税対象となります。これは国税庁ホームページから調べることができます。
子供の国籍は日本であるが外国に住所がある場合
このような場合ですが、相談者のように、受贈者(子)が外国に住んでいる場合を例にとって(国籍は日本と仮定)、いくつかのパターンにつき贈与税が課税されるかどうかを考えてみましょう。
- 贈与者(親)が日本国籍であって日本に住所を持つ場合
- 贈与者(親)が日本国籍であって外国に住所を持つ場合
これらのパターンでは贈与財産が国内・国外どちらにあるものでも贈与税が課税されます。ただ、親子ともに過去5年以内に日本に住所がなかった場合は国外の財産の贈与については課税されません。
- 贈与者(親)が外国籍であって日本に住所を持つ場合
- ・贈与者(親)が外国籍であって外国に住所を持つ場合
どちらも子が過去5年以内に日本に住所がなかった場合は国外の財産の贈与については贈与税が課税されません。
アメリカの贈与税は日本とは若干異なる
日本の贈与税は受贈者に対して課されますが、アメリカの場合は贈与者に課されることになっています。
アメリカに居住する子が日本に居住する親から基礎控除(年間110万円)を超える贈与を受けると日本の贈与税の対象となりますが、アメリカの贈与税も同時に課せられる可能性があります。
もし相談者のように日本に居住する日本人の親から贈与した場合は、アメリカ国内の資産を移転した場合に限られます。
ただし、不動産や現金、自動車のように「有形資産」とされるものには課税されますが、株式や債券、有価証券のようなものは「無形資産」として非課税となります。
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