成年後見人への報酬はどのように決めるのですか?
質問者:T.M
成年後見人として適切な親族がいなかったり、すでに選任されている成年後見人の職務に問題があるとされる場合は元の人を解任し、「専門家後見人」として弁護士や司法書士が選ばれることがあります。
申立てをする親族の方は、専門家に頼むとなるととても高額なのではないか?と心配することが多いのですが、弁護士(司法書士)への報酬はどのように決められ、どのくらいの金額になるのでしょうか?
専門家後見人の報酬は一律ではない
もし、家庭裁判所が「このケースには専門家後見人がふさわしいだろう」として弁護士や司法書士を選任するとやはり報酬がかかりますが、その金額はあくまで「被後見人(後見を受ける認知症等の本人)の財産に応じて」ということになります。
よって、人によっては年間(月間ではありません)50万円ということもありますし、一方で10万円ということもあります。
また、特別な業務があった年は報酬が上がることもあります。 報酬を決める際は、後見人から「報酬付与の申立て」を裁判所に提出し、それに基づいて裁判所が決定を下し後見人に通知するという方法で行われます。
申立てをするタイミングは通常、裁判所への業務報告書を提出する時であることが多くなり、1年に1度、人によっては半年に1度ということもあります。
現在の制度の問題点としては、ほぼ同じような内容の業務となる2人の被後見人がいたとしても、各人の資産で報酬額が異なってくるということです。
実際に「儲かるか否か」というのは1件1件の仕事と報酬のバランスが取れているかという問題なので一概にはいえません。
月額1万円程度の報酬にしかならないのに月に何度も動かなければならない、「ボランティア」に近い案件も存在します。
現在では弁護士(司法書士)が成年後見のみを専門としていけるほどまだ分野としては成熟しておらず、公益的な動機から仕事を受けている専門家も多いというのが実情です。
弁護士による不祥事もある
近年、被後見人の財産の使い込みなどで専門家後見人が逮捕や懲戒といった事態に追い込まれることが増えてきました。
弁護士過多で経営難に陥った者が被後見人の財産に手をつけてしまったというのが多くのケースにおける内情です。
たとえば司法書士の場合では「公益社団法人成年後見センターリーガルサポート」による職務の監督、指導が行われていますが、このように専門家団体の間でも市民の法律家への信頼を保持し、不祥事を事前に防ぐための努力が続けられています。
家族信託という考え方も
成年後見制度は申し立てると、被後見人が亡くなるまで続きます。十年、二十年と長期にわたることもあり、後見人への報酬も膨大になります。
さらに財産の処分は被後見人のためにしかできないため、被後見人の不動産を処分しようとしても売却が認められなかったり、デメリットもあります。そのような状況の中、近年、注目を集めつつあるのが家族信託です。
基本的には、委託者が信頼できる家族や親族(受託者)に、自分が指定した内容の財産を託す(信託)というものです。
受託者は託された財産(信託財産)を管理・運用・処分して得られた利益を受益者のために使用します。
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