相続はどの士業さんにお願いすればいい?
相続手続きがわかりません。父が亡くなりましたが、銀行の手続きや家の名義も変更しなければいけないようです。どの士業に頼めばよいでしょうか。
同じ「相続」でも状況ごとに扱う専門家が違う
では、それぞれの士業でどのような違いがあるのでしょうか。
弁護士
弁護士の仕事はいってみれば「オールマイティ」です。遺産分割協議などの書類作成や紛争の仲裁、調停、裁判まで法律的な代理について上限なくできるのが強みです。ただ、やはり報酬が高く、100万円単位になることもあるのがネックです。
司法書士
司法書士は相続がらみの手続きを最も広範囲にこなせる業種ですが、メインになるのは不動産の名義変更(相続登記)でしょう。ただ、もし紛争性が出てきてしまうと仲裁することはできません。
相続登記の手続きは義務化されています。令和6年4月1日から施行され、相続等により所有権を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由がないのに申請を怠ったとき、10万円以下の過料の対象となります。
税理士
税理士は、相続の中でも相続税申告や準確定申告などの必要がある時に必須となる業種です。ただ、税務申告がない場合は税理士ができることはあまりないため、他の士業に紹介されることが多いでしょう。
行政書士
行政書士は主に遺産分割協議書など書類作成代行を行いますが、不動産の名義変更や紛争の仲裁もすることができません。ただし、他の専門家より安価に依頼できることが多いようです。
状況別に見た、適切な依頼先はどこか?
では、どういった人がどの士業に依頼すればよいのかを考えてみましょう。
相続税申告や準確定申告がある人は、最初に税理士の元を訪れるべきでしょう。
相続税は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」という「基礎控除」を超える遺産がある場合に必要となります。
また、準確定申告については、自営業だった人や賃貸不動産を持っていた人など確定申告の義務がある人がこれを行わずに死亡した場合に必要となります。
これらは登記などと異なり申告期限がはっきりと決まっています。(相続税は相続開始を知った翌日から10カ月、準確定申告は同じく4カ月)これらには絶対遅れることができないので相続が開始してから間を置かず税理士に相談しなければなりません。
また、被相続人(亡くなった人)の借金が財産より多いなどの事情で、家庭裁判所に相続放棄の申立てをしたいと考えている人もやはり期限がありますので(相続開始を知った翌日から3カ月)、こちらは先に司法書士のところへ行くべきでしょう。
申立て期限の3カ月を過ぎているなど複雑な事案では弁護士の方が適切なこともありますが、おおよそのケースは司法書士で対応できます。
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