親が存命のうちに財産贈与されたら相続税は不要?
質問者:S.N
このタイミングで贈与すると相続税の課税対象財産になってしまう可能性があります。相続税対策として「生前贈与」を検討する人も多いのですが、贈与税がかからない、もしくは最小限で済むような配慮をした上で行わなくてはなりません。
贈与しても相続財産としてカウントされることがある
相続税の課税財産は、被相続人(亡くなった人)の死亡時点で被相続人名義になっている財産だけではありません。一定の時期、条件にあてはまる財産は「持ち戻し」といって すでに誰かに贈与されていても課税上は相続財産の中に入れてカウントします。
持ち戻しの対象になる財産は、
①相続時精算課税制度を利用して行った贈与財産
②相続開始前3年以内に贈与された財産
となります。
①については、一定の条件を満たした人が生前贈与すると2500万円までは非課税、それを超える部分は一律20%の贈与税を課税され、贈与された財産を相続の際、そっくり相続財産の中に戻して計算するという課税方法です。もし贈与財産を持ち戻したとしても、相続税の基礎控除である「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超えない遺産しかないケースであれば、結果的に丸ごと非課税で贈与できることになります。
この質問者の例は②に該当する可能性が出てきます。兄弟で財産を分けてから3年以内にお父様が死亡すれば「持ち戻し財産」に該当するからです。
◎生前贈与は、贈与税を極力回避する形で行う
相続税対策としての生前贈与を検討する場合は、国税の中でも最高に税率が高い「贈与税」を回避することが必須です。 生前贈与による相続税対策といっても、相続開始までの時間的余裕がどのくらいあるかでやり方が違ってきます。 もし、長期に渡って対策できるような場合は、複数の子供達に年間110万円を超えない贈与(暦年贈与)をして非課税にするというのが定番の方法です。
また、相続開始まで余裕がなく一度に大型贈与をしたい場合は、上記の「相続時精算課税」や「住宅取得資金の贈与」といった非課税の特例を利用して行うことが必要です。 ただ、相続時精算課税については暦年贈与とどちらかを選択することになりますので、いったん相続時精算課税を選択してしまうと再び暦年贈与に戻すことはできないことに注意しましょう。
また、非課税の特例利用の際には、贈与の翌年2月1日から3月15日までの間に税務署に特例を使う旨の届出をすることを忘れてはなりません。自分でやろうと思ってうっかり手続きを忘れ、通常の贈与税が課せられてしまう失敗をする人もいるため、最初から税理士に依頼しておく方が安全でしょう。
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