【よくある質問】相続人がいない人の財産の行方は?
おばは独身で子どもも相続人もおらず、「おひとりさま」という分類になるかと思います。こういう人って亡くなったとき、財産はどうなるんでしょうか?
相続人不存在の場合、相続財産管理人(相続財産清算人)が選ばれる
配偶者は必ず相続人になりますが、それ以外の者には順位があり、第1順位が子供、第2順位が直系尊属(父母、祖父母)、第3順位が兄弟姉妹となっています。
ただ、これらの者すべてが存在しない状況もあり、その場合はおじ、おばやいとこなどが相続人になるわけではありません。
第1から第3順位まですべての相続人がいない=相続人不存在の場合、相続財産は法人となり、裁判所が選任した「相続財産管理人(弁護士や司法書士など)」によって管理されます。
そして、一定の手続きを順番に踏んでいくこととなります。
※相続財産管理人は、令和5年の民法改正により「相続財産清算人」に名称変更されました(以下、「相続財産管理人」とします)。
相続財産法人の各手続きとは?
相続財産法人とは、相続人が不存在で相続財産がある場合、相続財産自体に法人格が与えられたものを言います。
相続人が不存在の場合、まず、最初の2カ月で相続財産管理人が選ばれたことが公告されます。次の2カ月で被相続人(亡くなった人)に対して債権を持っていた人を探します。それが終わると次の6カ月で相続人を探す公告をします。
家庭裁判所で特別縁故者と認められれば財産を受け取れる可能性がある
もしここまで行って相続人が現れなかった場合「特別縁故者」といって、被相続人と特別な関係にあった人が自分に相続財産を譲るように申立てをすることができます。
ただ、特別縁故者というのは親しい友人程度の関係では足りず、長年内縁関係にあったことが書類で証明できるなど、相当親密な関係であることが必要です。もし裁判所がそれを認めれば財産分与が行われることもありますが、多くの場合は認められず、最終的に相続財産は国庫に帰属することになります。
▶特別縁故者とは?なれる要件や財産分与請求の手続き、注意点について詳しく解説
相続人がいない人は財産の行き先を決めておくべき
このように、もし法律上の相続人が存在しない場合は、周囲の人が1年以上に渡る非常に煩雑な手続きに巻き込まれる形になります。
さらには自分が希望しないのに財産が国の物になってしまうこともあるわけです。
よって、ぜひ元気なうちに遺言書を書いて自分の亡き後の相続財産の処分について指定しておかなければなりません。
法定相続人以外の親族にあげてもよいでしょうし、慈善団体などに寄付する手段もあります。遺言によって寄付することを遺贈寄付と言います。
ただし、寄付する場合には希望する団体によって受け入れ可能な財産の種類が限定されていることもあるので前もって確認しておくことが必要です。
遺言書を作成した場合には、おそらく自分の葬儀を出してくれると思われる関係の人に遺言書の存在を伝えておくべきです。
せっかく公正証書遺言などを作成しても、もし公証役場に誰も確認してくれなかった場合、その存在自体が埋もれてしまう危険もあるからです。
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。