相続で困った事態になりがちなことは?
質問者:Y.O
税務的な問題で起こりやすいこと
2015年の相続税改正後でも、相続税課税割合は全体の1割にも満たないものです。
つまり、ほとんどの人には税務的な問題は関係ないのですが、基礎控除「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超える遺産がある人の場合、相続税の申告期限に間に合うように準備しなければなりません。
具体的な申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内ということになりますが、相続財産と相続人を正しく調べ上げ、遺産分割協議を終え、申告書を作って提出し、納税もするのですから非常に厳しいスケジュールといえます。
相続が開始したらすみやかに税理士に相談して準備を始めなければ、申告期限に間に合わず延滞税・無申告加算税等が課せられる事態になることもありえます。
また、相続人が申告期限までに納税資金を準備できないことも起こりうる状況です。
生前の節税対策は被相続人(亡くなった人)自らしなければならないものの、相続人は被相続人の生前、それも元気なうちに税理士も含めた打合せをして「現状ではどの程度の相続税がかかりそうか」「納税資金はどうするのか」を確認しておいた方が安心です。
状況によっては、被相続人の手で今ある資産の一部を現金化しておくといった準備が必要になることも考えられます。
法務的な問題で起こりやすいこと
法務的な問題として最も懸念されるのが「遺産分割協議が調わない」ことです。
遺産の分量と紛争は関係なく、ほんのわずかな遺産であっても「財産の性質上分けづらい」ことを原因として協議がまとまらないのはよくあることです。
特に自社株や不動産など、共有状態にすることがふさわしくない財産は、被相続人が生前に遺言書などで渡す人を決め、さらには不公平をなるべく避けるための対策もしておくべきです(不動産をもらえない相続人を死亡保険の受取人にするなど)。
また、相続人が多数にのぼる、被相続人に実子も養子もいない(=兄弟姉妹が相続人となる)、前妻と後妻の両方に子供がいるなど人間関係が複雑な場合も遺言書は必須と考えなくてはなりません。
相続税の非課税枠を増やすために被相続人と養子縁組をする方法が使われることもあります。
しかし不自然な養子縁組をしてしまい、相続人が増えたことを知らなかった他の相続人からクレームがついてトラブルに発展することもあります。節税はできても親族の人間関係に大きな亀裂が入っては意味がないため、相続関係に影響を及ぼす節税対策については被相続人が独断ですることは避けた方がよいでしょう。
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