【よくある質問】形見分けは相続手続き前に勝手にしてもいい?形見なら遺産にならない?
祖母が亡くなったんですが、着物や食器などが大量にあります。形見分けは相続手続き前に勝手にしてもいいですか?形見なら遺産にならないですかね?
「形見分け」という言葉には一見、法律的な意味はないように思えます。しかし、故人の形見の中でも市場に出した場合の財産的価値がある物、ない物に分かれてきますので、価値がある物の取り扱いには特に注意が必要です。
故人の形見は誰の物?
形見分けとは、故人の近親者や友人などに対し、故人が愛用していたり思い出の詰まった品などを「形見(思い出の品)」として分配し、品物を通して故人を偲ぶことです。
形見というのは故人の思い出の残る品物であり、所有権についてあまり考えていない人も多いのではないでしょうか。
しかし、形見の中でも財産的価値を持つ物はいったん法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員の共有状態になっています。要するに、他の預貯金や不動産などと同じ「相続財産(遺産)」であるという位置づけなのです。
この共有を解消するためには「遺産分割協議」を行い、各財産の帰属について法定相続人全員が同意をして遺産分割協議書を作成し、署名と実印での押印をする必要があります。
一部の相続人で勝手に形見分けをすると遺産分割協議をしないで財産を分けてしまったことになりますから、法的な効力が無くなるばかりか他の相続人からクレームがつき、その後の他の財産の協議にまで悪影響が出ることもあります。
形見分けでのトラブルを防ぐには
相続発生直後は故人の物を勝手にもらったりあげたりすることは厳禁で、とりあえず相続財産リストを作るようにしましょう。
本来であれば被相続人(亡くなった人)がそれをしておくべきなのですがなかなか現実にそこまでしている人はいません。そこで相続人側で遺産分割協議の資料としてのリストを作る必要が出てくるのです。
不動産、預貯金、株式などは比較的容易に調べられますが、特に故人が美術品などの物を収集する趣味を持っていたような場合は慎重な判断が必要です。
専門的知識のある人でなければ一見価値がわからない物もあるため、鑑定を行って客観的な金額を割り出さなければならないこともあります。
遺産分割協議において特に難しいのは不動産です。
簡単に分割できない物だけに、そこで不公平が出てきてしまうと他の遺産で調整する必要が出てくるのです。
不動産における不公平を解消するのに十分な預貯金がない家庭も多いのですが、こういった場面で意外と故人の残した上記の美術品などが役に立つこともあります。
遺産分割協議後のやりとりには気をつける
相続財産リストに基づいて相続人全員で遺産分割協議を終えたら、その時点でいったん決まった人に財産が帰属します。
もし自分が相続することに決まった財産を後から「気が変わった」といって安易に他の相続人にあげてしまうと、その金額によっては贈与税の対象となることがあるので注意しなければなりません。
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