【よくある質問】兄から相続放棄しろと脅されました。これは脅迫と認められれば、兄を相続人から外すことは出来ますか。
兄から相続放棄しろと脅されました。これは脅迫と認められれば、兄を相続人から外すことは出来ますか。
相続人A(以下「A」)が相続人B(以下「B」)に相続放棄するよう強迫してもAは「相続人の欠格事由」とはなりません。したがって相続人から外すことはできません。
相続放棄とは
相続放棄とは、相続の際に被相続人の資産や負債などの権利を一切引き継がず放棄することを言います。
「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄申述書と戸籍謄本等の必要書類を提出して行わなければなりません。
相続放棄した人は初めから相続人でなかった人として扱われます。
相続欠格とは
本来相続人のはずなのに、何かの理由で相続人になれないことがあります。どんな理由かというと、相続欠格事由(相続に関係する法律を犯すようなひどいこと)に該当するような場合です。
相続欠格になると相続人の資格がはく奪されます。
強迫が欠格事由とされる場合としては、強迫によって被相続人に遺言を作成させた場合、強迫によって遺言の作成を妨害した場合等があります。
民法第891条(相続人の欠格事由)
- 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
- 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者
- 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
- 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
- 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
相続廃除との違い
相続欠格と近い意味の言葉に、相続廃除があります。相続廃除は被相続人の意思により、相続人の権利を失わせることができます。
相続欠格となることはなかなかありません。相続欠格人以外で財産を渡したくない場合は、相続廃除をおこないましょう。ただし相続廃除の対象は遺留分のある推定相続人のみになります。
相続廃除にあてはまる例
- 被相続人を虐待した
- 被相続人に対して、極度の屈辱を与えた
- 被相続人の財産を不当に処分した
- ギャンブルなどを繰り返し、被相続人に多額の借金を支払わせた
- 浪費・遊興・犯罪・反社会団体への加入・異性問題を繰り返すなどの親不孝行為
- 重大な犯罪を起こし、有罪判決を受けた(一般的には5年以上の懲役判決)
- 愛人と同棲するなどの不貞行為をする配偶者
- 財産目当ての婚姻関係
- 財産目当ての養子縁組
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。