ノートやPCだけじゃない!アプリで探そう、理想のエンディングノート

こんなエンディングノートも!
〜アプリ型エンディングノートとは

終活に取り組むのに欠かすことのできないツールと言えばエンディングノートですが、「ノート」という言葉がイメージさせる通りもともと紙媒体のものしかありませんでした。市販のエンディングノートの種類も様々、ニーズや年齢層に合わせて選べるようになり、大きな市場として今後も注目されるのびしろがあります。

そんな中、ここ最近はアプリ版エンディングノートが登場するようになりました。

スマホは日常生活を送る上で欠かすことのできないツールです。自分に合うものが見つかれば、こんなに便利に作成できるエンディングノートはありません。

どんな種類のアプリがあるのか、詳しく見ていきましょう。

そもそも、エンディングノートってどんなもの?
〜まずは基本をおさえよう

しっかりしたアプリを選ぶには、エンディングノートの必要条件をおさえることが大切です。まずは基本情報から見ていきましょう。

エンディングノートは、主にこの5つの要素に基づいて作られています。

①自分について

②財産について

医療・介護について=「もしも」の時について

④葬儀・埋葬について

⑤相続・遺言書について

医療・介護については、自分自身の命に関わる重要な情報源であるのと同時に、自分の尊厳を守ることに関わる最重要項目です。「もしも」の時は、大抵命に関わる重篤な状況を示します。
万が一、一命をとりとめたとしても、後遺症や障害が残ってしまった場合、自分の本当の希望する医療処置を伝えられない、またはその処置を拒否することができないのです。

エンディングノートにしっかりとその意志を書いて残しておけば、最悪の事態になってしまったとしても、最後に望んだ自分の希望を叶えることができる可能性が高くなります。それは、残された家族のためにもなることなのです。

「もしも」の時に関する項目がきちんと設けられているかは、エンディングノートの機能を持っているかを判断するのにとても重要です。

どんなアプリがあるの?
自分に向いているアプリ型エンディングノートを探そう!

では、現在利用可能な4 種類のアプリを見てみましょう。

◇100年ノート◇

<カテゴリー:ライフスタイル>

暗証番号4桁を設定するだけで利用がスタートできます。個人情報などの入力を省略してすぐに始めることができるのでとても手軽です(この番号は、設定画面でいつでも変更できます)。

暗証番号を登録して入力すると、以下のメニュー画面が表示されます。

・トレーニング(2分間でできる簡単な記憶型ゲームです)

・設定(このページで会員登録ができます。登録をすると、インターネット上に情報が保管でき、且つ開示権限を持つ人へ情報を開示することができるようになります)

・ご自身(自分に関する基本プロフィール)

・身近な人(親類と友人・知人の連絡先など情報一覧。開示権限を最大3人まで設定できます)

・伝えたいこと(テキストタイプと音声タイプで登録が可能です)

・ペットのこと(ペットについて連絡したいこと。メディカルデータや保険情報などを入力できます)

・ご預金のこと(口座情報、預金先の情報などを入力できます。デキストタイプのメモの他、写真メモに通帳の表紙やカードの表部分を写真登録でき、音声メモにカード情報を音声で登録することができます)

・財産のこと(不動産、株式等の財産情報などを入力できます。株の銘柄やローン情報など、各項目をわかりやすく入力できる画面構成です)

・病院のこと(主治医やかかりつけの病院情報などを入力できます。音声メモが利用できます)

・介護のこと(介護が必要になった時の情報などを入力できます。自分自身に介護が必要になった時の判断などをプルダウンで選択できるます。音声メモが利用できます)

・弁護士・遺言(顧問弁護士の情報や遺言書に関する情報などを入力できます)

・葬儀のこと(葬儀、お墓に関する情報などを入力できます。特に葬儀に関する情報があつくサポートされています。遺影についてテキストメモを残しておくことも可能です)

・保険のこと(保険、私的年金の情報などを入力できます。音声メモが利用できます)

・登録サービス(登録中の各種サービス情報などを入力できます。音声メモが利用できます。パスワードはセキュリティの問題上テキスト・音声ともに入力できません)

このアプリのメリットは、音声メモが非常に充実している点です。入力するよりも、音声で吹き込んだ方が当然手間が半減できます。且つ文字が大きく、画面構成もできるだけシンプルに作られています。
高齢者の方スマホでエンディングノートを入力したいという方もいらっしゃると思いますので、そういった方には理想的ではないでしょうか。

また、更新日時が各ページ毎に表示されるのもメリットの一つです。エンディングノートは、いつ書いた情報かがわかることがとても大切です。手書きのエンディングノートでは忘れがちな日付の記録を自動的にしてくれるのはとても助かりますね(ただし、自動保存の機能はありませんので注意が必要です)。

では、デメリットはどうでしょうか?

他のアプリにも言えることですが、クレジットカード情報欄が少ないのは少し不便な印象があります。

また、画面を切り替えたりすると、必ず暗証番号入力→TOP画面になるのが煩わしいと思う方がいるかもしれません。これは音声メモを内蔵しているため、セキュリティ面を考慮した上での対策です。
情報が漏れてしまっては本末転倒ですので、安全のための保険と思っておきましょう。

全体のイメージとしては、エンディングノートとしての基本的な内容は整っています。
ですが入力できる内容はあまり多くなく、記録しておきたい情報を多数お持ちの方には物足りないと思うかもしれません。

スマホの基本的な操作ができ、ひとまずエンディングノートを作ってみたいと考える高齢者の方に向いているアプリであると言えます。

◇エターナルメッセージ◇

<カテゴリー:エンターテインメント>

名前登録(PN可能)→アドレス・パスワード・誕生日・プロフィール画像(スルー可能)

の順で登録したら利用スタートです。登録情報は後で変更可能です。

このアプリの最大の特徴は、葬儀に特化した内容である点です。

項目は大きく分けて

・エターナルメッセージ

・フォトアルバム

・エンディングノート

の3つです。順に紹介していきます。

エターナルメッセージは「大切な家族に、想いを動画で残すサービス」です。

家族を登録、動画を撮影して登録します。1本の動画が最大4分撮影可能で、何度でも撮り直しが可能です。「もしも」の時に家族からエターナルに連絡をすると、家族に動画が届けられるサービスです。

フォトアルバムも、基本的にはエターナルメッセージと同じサービスで、動画ではなく写真が家族の元に届きます。

エンディングノートは、基本項目のうち④葬儀・埋葬についての項目に特化した特殊な内容になっています。
内容は
(1)宗教・宗派について
(2)連絡をしてほしい人
(3)葬儀費用について
(4)エンバーミングについて
(5)納棺時の衣装について
(6)柩の中に入れてほしいもの
(7)好きな曲について
(8)遺影について
と別れています。

この中でも特徴的な「エンバーミング」について説明しましょう。

エンバーミングとは、日本語に訳すと「遺体衛生保全」。
遺体をきれいに消毒し、防腐、修復、エンゼルメイク(死化粧)などの処理を施し、遺体を衛生的に保全することをいいます。

長い闘病生活や不慮の事故などで変わってしまった面影を生前の穏やかな表情に復元でき、遺族の悲しみを和らげる効果があります。
また、高度な技術で腐敗を抑える為に長期安置が可能となるため、余裕のあるスケジュールで葬儀が行われます。且つ二次感染の防止にもなり、危険性を低めることができるのも大きなメリットです。
キリスト教を信仰している欧米ではまだまだ土葬の習慣が根強く残っており、エンバーミングはよく知られた保存方法です。
2018年にテレビ放映されて人気を博した法医学ドラマ『アンナチュラル』の最終話にもエンバーミングが出てきます。
主人公の一人が恋人を殺した連続殺人犯を探し続け、ついに追い詰めますが証拠不十分の状況となってしまいます。万事休すかと思いきや、恋人の遺体が家族の暮らすアメリカでエンバーミングされて埋葬されていたことがわかり、急遽遺体を日本に運び法医解剖を行い、犯人のDNAを採取することに成功し裁判で追い詰めることに成功するという劇的なシーンで用いられました。このシーンのインパクトは非常に強く、このドラマでエンバーミングを知った方も多かったのではないかと思います。

埋葬方法のひとつとして、エンバーミングを提案しているのはノート型・ダウンロード型・アプリ型エンディングノートの中でもこのサービスだけです。

エンディングノートの他の基本項目をカバーできないため満足度は少し低くなりますが、埋葬方法の選択肢を広めるという目的だけでも見てみて良いのではないかと思います。

※玉泉院感動プロデュースのふれ愛葬HP内「エンバーミング」項にリンクが貼られています。興味のある方はぜひご覧ください。
http://gyokusenin.jp/suncelmo/fureaisou/service/embalming.html

◇私ノート2◇

<カテゴリー:ソーシャルネットワーク>

「100年ノート」や「エターナルメッセージ」と大きく異なるのは、投稿型・コミュニティ参加型アプリであるということです。カテゴリ―にある通り、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)型のアプリとなっています。

フォロワー同士の繋がりや投稿記事の公開範囲の設定、グループやブックマークなどの諸機能など、特にFacebookを使い慣れている方には馴染みのある構成になっています。これらは全てホーム画面で変更が可能で、エンディングノートは別にページが設けられています。

エンディングノートは3つの項目に別れていて、各項目の各ページごとに公開・非公開が選べます。これは、フォロワー同士はお互いの投稿とエンディングノートの中身を見る権限があるため、セキュリティを考慮したためです。

内容は以下の通りです。通常のエンディングノートの基本要素をほぼ満たしています。

・医療・介護(血液型、延命措置、臓器提供、献体、介護費用や財産管理など)

・財産・相続(預貯金、株式、不動産、有価証券、金庫、保険、カード・ローン情報、遺言書関連、遺産分割、形見分けなど)

・葬儀・お墓法事(葬儀内容、宗教、棺の中に入れたいもの、音楽、香典、会葬礼状など希望詳細、墓石、墓碑銘など)

エンディングノートの中では珍しく①自分についての項目がありませんが、これはSNSサービスが相当するということで敢えて設けられていないと考えられます。

SNSに慣れている方は手軽に始められそうなイメージです。特に写真や動画を保存しておくにはSNSはぴったりの媒体だと思います。フォロワーの方もエンディングノートに興味のある方が使用しているので、健康に関する情報など様々なことについて投稿されているようで、参考になる情報を得ることもできそうです。各項目ごとにしっかり公開設定を決めていれば、プライバシーもしっかり守られるように設計されています。

ですが、やはりSNSタイプは気を遣うことが多いことも確かです。セキュリティなどに不安を覚える方にはストレスになるかもしれませんので、そういったサービスを使い慣れている方や抵抗のない方に向いたサービスです。

◇エンディングノート◇

<カテゴリー:ライフスタイル>

登録をしなくても利用開始できますが、セキュリティ面で不安がある方は以下のように手続きをします。少しわかりにくいので注意が必要です。

「ENDING NOTE」というロゴをタップ

→設定画面

→パスワード設定

→設定画面に戻る

→本人の利用が可能

設定画面では、本人の他に任意で選んだ3人に閲覧権限を与える設定が可能です(設定をしなくても利用は可能です)。その際は氏名、および質問と答えをそれぞれ対にして任意の文章で設定するのが特徴です。全部で3問3答で、省略はできません。特にこの答えは、設定した単語・文章で正確に入力しないと正解したことにならないので、きちんと情報共有をしておくことが重要です。

では、アプリの内容を見ていきましょう。

・わたしの人生(学歴、資格、職歴、過去の住所、思い出、伝えたいこと、介護のとき)

・まわりの人々(家族、親類、友人・知人)

・愛しのペット

・資産と負債(預貯金口座、証券口座、有価証券、不動産、借入金・ローン、クレジットカード)

・からだ(病名、病院名、主治医、既往歴など)

・最期に(葬儀、遺言、弁護士)

・備え(保険、年金)

・有料サービス(使用している有料インターネットサービスや公共料金・生活費に関するアクセス情報や支払い方法など)

・パスワード集(使用しているインターネットやSNS関係のIDやパスワード)

全般的に各項目を細分化し1Pごとに入力できるようになっており、スマホの特徴を反映させた見やすいレイアウトになっています。全て入力欄は文章入力になっており、プルダウンでの選択肢提示はありません。自分の希望をきちんと入力できます。

また、必要に応じて画像登録ができるようになっています。ダウンロード型やアプリ型で登録できる画像はほとんど自分自身に関わるものでしたが、このエンディングノートは家族やペットの写真を登録することができます。大切な人の写真を登録できるのは、エンディングノートを書く人自身の気持ちの支えになってくれるのではないでしょうか。

このエンディングノートの特徴は、情報を家族やそれ以外の人と共有することを前提においたセキュリティ対策になっている点です。自分以外に見ることができる人を設定するのは非常に緊張します。特に、すでに家族がいなかったり親戚が遠方にいる場合、頼りになるのは友人や知人、場合によっては施設の人ということになるからです。

どの人に託すのかという問題は別にして、「もしも」の時が自分の身に降りかかった時、あなたの一番近くにいる人が家族ではない確率も低くはない時代に突入しました。その意味で、他人に安全に情報共有できるエンディングノートが存在するということは、それだけで心に余裕を持たせてくれるのではないでしょうか。

自分にぴったりなアプリを見つけ、気軽にエンディングノートを書いてみよう!

現在ダウンロードできるアプリ型エンディングノートの中で、利用可能である4種類を紹介してきました。

「エターナルメッセージ」を除いて、内容に大きな違いはあまりなさそうです。ですが、やはりアプリということで、あまり具体的で多くの情報を入力することは難しそうです。各項目の名称や簡単な情報の入力をしておいて、アプリ型を基にノート型やダウンロード型に詳しい情報を記入・入力することを目的に利用するのが良いのではないでしょうか。

また、セキュリティ面を徹底する必要があります。紹介した4種類すべてがパスワード・暗証番号設定タイプなのは、エンディングノートに入力する内容が非常に個人情報に特化しているためです。パスワードや暗証番号の管理徹底や、バックアップ・データ移行・保存など、きちんと管理しておく必要があります。
万が一スマホをなくしてしまったり壊してしまった場合はどうするべきか、トラブルが起こったときのことまでしっかり考えておきましょう。特にアプリ型の場合は、スマホそのものの暗証番号を共有しておくようにしなければなりません。

また、アプリ型のデメリットとして挙げられる大きな要素は、サービスがいつ終了するかわからない点です。
実際にインターネットで「アプリ エンディングノート」と調べて紹介されているものを利用したいと思っても、現在サービスが終了していて使えなくなっているというケースはよく聞きます。
また、逆のパターンで、利用していたアプリが突然使えなくなってしまい、せっかく入力していた情報を見ることができなくなってしまったということも少なくないようです。

iphoneとandroid、どちらもダウンロードできる場合もあれば、どちらか片方しか対応していないという場合もあります。お使いの機種によっては、希望のアプリが利用できないことがあります。

とは言え、もちろんメリットもあります。

どのアプリも写真や動画を保存できるようになっていますが、現在のスマホの画像のクオリティの高さはみなさんご存知の通りです。残すなら、綺麗な映像を残したいと思うのは当然です。
また、カメラ機能と連動していることが多いので、すぐに間に使いたい・保存したい画像を変更することができます。最近はプロ顔負けの機能を持つスマホのカメラ機能が人気です。
これまでとは違う、ハイレベルな写真を使うことができたら、終活もはかどるかもしれませんね。

そして何より、スマホは手軽で身近。
ノートを買うより、データをダウンロードするより、指1本で簡単にダウンロードしてスタートすることができます。

まずはスマホで、自分が使いやすそうなエンディングノートをダウンロード、そしてある程度の情報が入力できたら、ノート型やダウンロード型のエンディングテーマを探してさらに深く、本格的に作るようにする。二本立ての使い方が理想と言えそうです。

終活の第一歩を歩むのに、欠かすことのできないエンディングノート。
どんなタイプを選んでも、どこから書き始めるのもあなたの自由です。まずはアプリで気軽に始めてみませんか?

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